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「18th Mediterranean Conference on Control and Automation」に参加して
大阪府立大学大学院 工学研究科 電気情報システム工学分野 助教 原尚之
国際会議18th Mediterranean Conference on Control and Automation (MED)が、2010年6月23日(水)から25日(金)にかけて、モロッコのマラケシュにあるPalais des Congresで開催された(写真1)。本会議は、Mediterranean Control Association (MCA)が主催しており、1993年に第1回の会議がギリシャで開催されて以来、毎年地中海沿岸の国で行われている。会議で取り扱うトピックは、主に制御理論・制御応用である。投稿論文総数は、プログラム委員の発表によると、53か国以上から424本であり、3日間の会議日程で、56のセッションが構成された。会議へ参加した筆者の印象では、地中海沿岸のヨーロッパ諸国からの参加者が多いようであった。本会議におけるプレナリー講演は、以下の4件であった(写真2)。

写真1 会場前

写真2 プレナリー講演
1. C. C. Cassandras, “Cooperative Control and Optimization in an Uncertain Asynchronous Wireless Networked World”
2. M. Staroswiecki, “Fault Tolerant Control Design: The General Frame and Some Recent Results”
3. A. Sala, “The Polytopic/fuzzy Approach for Non-Linear Control: Advantages and Drawbacks”
4. Z. J. Palmor, “Novel Extensions of Smith Predictors for MIMO Systems with Multiple I/O Delays”
筆者は、現在まで制御工学の研究に従事しており、その中でも特に、制約を有する系に対する制御系設計法について研究をおこなってきた。現実の制御系には、様々な制約条件が存在している。例えば、電気モータであれば、モータを動作させる指令電圧には、物理的な制約、機器の保護などの目的から、上下限の制限値が設けられており、この制約の範囲内で動作させることが求められる。このような制御系の制約を仮に考慮せずに制御系設計をおこなったとすると、制御性能の劣化や最悪の場合には不安定化を引き起こすこともあり、制約を考慮した設計が不可欠である。
今回の18th MEDにおける筆者の発表は、制約を有する系に対する設計法に関するものであり、以下の論文発表をおこなった。
題目:“Compensation Law for Constrained Systems with Initial State Uncertainty Based on Piecewise Affine Function”(初期状態の不確かさをもつ拘束システムに対する区分的アフィン関数に基づいた補償則)
本論文は、制約を有する線形制御系に対し制約を満足させるような補償則の設計を扱っている。そして、特に制御対象の初期状態の一部が不確かである場合にも対処できる補償則について考察している。筆者らが開発した従来の補償則の設計法では、制御対象の初期状態はすべて観測可能であると仮定されていた。よって、一部の状態が観測できない系には、適用ができなかった。本論文では、線形系の特異値分解の手法を導入し、制御系の主要な入力波形を表す特異ベクトルの線形結合により一定時間の補償入力を構成している。また、補償入力を構成するためには、初期状態がかわるたびに新たな最適化問題を解く必要がある。本研究では、マルチパラメトリック計画法を用いることにより、制御則を観測可能な初期状態の区分的アフィン関数により構成する方法を導いている。筆者の発表は、初日(23日(水))の午後のセッション“Control Theory II”に組まれており、本セッションの中では、2番目の発表であった。聴衆の様子を発表しながらうかがっていたが、発表内容に対しなじみが薄いせいか、少し難しいと感じているようであった。
最終日である3日目の最後に、“Renewable Energy Control”のセッションが組まれており、6件の発表があった。これは、筆者にとってとても興味深いものであった。内容は再生可能エネルギーに関連したものであり、太陽光発電や風力発電などに関する発表で構成されていた。特に、風力発電機の制御に関する発表では、筆者が研究をおこなっている制御法が、こういった制御対象に適用できないかなど、様々な考えを頭の中で廻らせることができ、とても有意義な時間を過ごせた。
さて、本会議はモロッコで開催されたが、同国に関する話題を日頃ニュースなどで耳にはさむことはあまりないと思われる。実際、筆者もモロッコの大雑把な位置とマラケシュという都市名を聞いたことがある程度だった。モロッコは、アフリカ大陸の北西部に位置しており、地中海に面した国である。スペインまで、もっとも近いところでは海峡を挟んで約15kmしか離れていない。筆者の場合、日本から会議の開催された都市であるマラケシュまで、関西国際空港⇒ドバイ⇒カサブランカ⇒マラケシュ、と飛行機を乗り継いで行った。航空会社は、関空―カサブランカ間はエミレーツ航空、カサブランカ−マラケシュ間はモロッコ航空を利用した。いままで他の航空会社を利用した時には感じたことはなかったが、はじめて利用したエミレーツ航空で提供された機内食がとてもおいしかった。カサブランカ発マラケシュ行きのモロッコ航空の飛行機には遅延が生じており、だいぶ空港で待つ必要があった。なお、帰国時も同様に大幅な遅延が生じており、モロッコ国内では日常茶飯事のようであった。マラケシュ到着後、滞在先のホテルまでタクシーで向かった。日本に比べタクシーの運転がとても荒く初めは少し驚いたが、他の車の様子をみていると、これが普通のようであった。利用したホテルは、清潔に保たれており、滞在はとても快適であった(写真3)。ホテルから会議の会場までは、徒歩で約15分程度であったが、その道中で異国情緒を感じさせる要素が建築の様式・色、植物などの随所に散見できた(写真4、5)。また、会場までの道を現地の人に英語で訪ねたのだが、かえってきたのはフランス語で、英語は話せないようだった。過去に、フランスの保護領になっていたこともあってか、英語よりもフランス語のほうが通用するようであった(公用語はアラビア語である)。実際、看板などの表記もアラビア語とフランス語の併記が多数あり、会議の会場内で急遽連絡用に張り出された張り紙も、フランス語であった。また、帰国時には、マラケシュ発の便に遅延が生じており、関連したアナウンスがフランス語で行われていた。この時、会議で出会ったフランスの大学にいる中国人研究者と一緒にいたため、アナウンスを英語に翻訳して伝えてくれとても助かった(写真1をとってくれた人物である)。この研究者と、飛行機の出発を待合室で待っている間、ノートPCでProceeding CDに収められたお互いの論文をみながら、研究紹介をしあっていたことが懐かしい思い出として残っている。

写真3 ホテル中庭

写真4 ナツメヤシ

写真5 マラケシュ市内
最後になりましたが、本国際会議へ出席するにあたって「研究者海外研究助成金」を交付してくださったスズキ財団に深く感謝いたします。
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