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「国際会議IEEE International Conference on Mechatronics and Automation(ICMA2010)」 に参加して
香川高等専門学校 機械電子工学科 講師 逸見知弘
2010年8月4日〜7日の間、中華人民共和国陝西省西安市で行われた国際会議「2010 IEEE International Conference on Mechatronics and Automation(ICMA2010)」に参加しました。
開催地である西安市は中華人民共和国のほぼ中心に位置する町で、陝西省の省都でもある人口約800万人の大きな都市です。かつては長安と呼ばれた中国古代の都であり、シルクロードの中国側の始発点でることから多くの歴史的建造物が残されたいわば日本で言う京都のような都市です。町の中心部は、一周約13kmの城壁に囲まれた中にあり、城壁外も発展していましたが、城壁内は特に発展し、日本でよく見る欧米のファストフード店もあり都市化、観光地化している印象でした。
国際会議がおこなわれた会場は、城壁内部の「人民広場」と呼ばれる複数のホテルや会議場が集まったコンベンションセンター(写真1)のようなところで行なわれ、宿泊したホテルもその敷地内にあるため、非常に便利な立地条件でした。

写真1 ICMAの会場(人民広場)
私は、関西空港から上海経由で西安入りしました。上海空港での乗り換えに3時間近く時間を取っていたので、何の混乱もなく西安便に乗り継ぎする予定でした。が、飛行機に搭乗後に遅れが発生し、2時間30分も狭い飛行機内で待たされ、結局ホテルには予定より3時間の遅れで到着しました。同じホテルの部屋をシェアする予定の他大学の先生は、予定よりも3時間以上飛行機が遅れ、ホテルに着いたのが真夜中でした。
帰国後この話をすると、 中国の国内便の飛行機は遅れが発生するのが普通で、出来るだけ直行便で行く方が間違いないという話を聞き、帰りの乗り継ぎに2時間しかとってないことを後に後悔することとなりました・・・
さて、参加した会議についてですが、本会議は、今回で開催が7回目の比較的歴史の浅い会議でありますが、IEEE Robotics and Automation Society、日本ロボット学会、日本機械学会、計測自動制御学会、日本精密工学会などからの支援のもと、28の国と地域から837の論文投稿がありました。査読の結果366 編の論文が採用され、最終的な採択率は44%となり、メカトロニクス分野において世界最大規模の国際会議となりました。会議の内容は、4回の特別講演と54のオーラルセッション、2つのポスターセッションが3日間に分けて行なわれました。
会議初日は、オープニングセレモニーが行なわれた後、オーストラリアクイーンズランド大学のPeter Corke先生の特別講演が「Vision, Mechatronics and the Great Outdoors」と題し行なわれました。内容は、画像処理をもちいた様々なシステムの監視、制御を行なっている研究の紹介で、とくに鉄鉱石採掘現場の重機の監視や坑道内を自律走行する監視システムの紹介が非常に参考になりました。

写真2 オープニングセレモニーの様子
特別講演の後は6部屋に分かれて通常のオーラルセッションが行なわれました。私は専門分野である、制御工学に関するセッションの発表を聞いて回り、様々な国の研究者による最先端の研究発表を聞くことができました。 初日の発表・講演の予定が終了すると、参加者みんなでバスに乗ってウエルカムパーティーに向かいました。ウエルカムパーティーでは、最初に現地の伝統的な中国舞踊を鑑賞しました。中国には何度か訪問したことがあるのですが、本格的な中国舞踏の鑑賞は今回が初めてで、一糸乱れる動きに非常に感動しました。

写真3 ウエルカムパーティーでの中国舞踊
その後、日本にもあるような円卓で中華料理を囲みました。 西安では、様々な動物や植物を模した餃子などの点心料理が有名で、 味も日本人の口にも合うものでおいしく頂きました。
会議2日目は、朝一番で大阪大学の金子真先生の特別講演が、「Medical Breakthrough by Hyper Vision」と題し行なわれました。金子先生のご講演では、人間の目の何十倍もの早さでキャプチャリングできるカメラの特性を活かし、手術の補助や血液の粘度の測定などについて紹介していただきました。初日同様、その後は各部屋に分かれて通常のオーラルセッションが行なわれ、並行してポスターセッションが行なわれました。また午後の最後には、ドイツ・ドルトムント大学のHans-Michael Hanisch先生の講演が「Systematic Design of Flexible and Distributed controllers Following IEC61499」行われました。 なお、この日の夜はバンケットの予定だったのですが、水が合わなかったのか不覚にも体調を崩してしまい、次の日の発表に備え、午後の講演、バンケットは残念ながら欠席し自室で療養していました。3日目は、香港大学のMichael Yu Wang先生の特別講演が「Compliant Mechanisms for MEMS and Flexonics」と題され行なわれましたが、私は午後に自分の発表があるので朝から部屋にこもって練習をし、万全の体制?で本番に臨みました。
私の発表題目は、「Adaptive Control of a Two-link Planar Manipulator using Nonlinear Model Predictive Control」と題し、2本の直列につながったロボットアームの制御を、非線形モデル予測制御則をもちいて追従制御を行なうものです。 モデル予測制御とは、参照軌道と呼ばれる目標値に達するまでの理想的な軌道を設計し、その軌道にシステムの出力が一致するように制御入力を計算する制御手法のひとつです。
提案したモデル予測制御では、この参照軌道であるアームの理想的な軌道の時定数の設定を、アームの状態にあわせて時々刻々適応的に変化させることで様々な目標値に対応できるよう改良しました。さらに、アームへの指令入力とアームの動き(出力)情報を用いることで、ロボットがもつ数学パラメータを毎時間推定し、その値を制御入力の計算に利用することで、アームのパラメータの突然の変動にも対応した適応制御則を提案しました。私の発表は最終日、最終セッションの最終発表順ということもあり、多少時間を超過しても「無問題」という司会者の考えからか、予定時間をすぎても多くの方から質問を受け、学術面でも、私の英語力のトレーニングという面でも非常に良い経験ができました。

写真4 私の発表の様子
会議終了後、 多少の時間があったので同行した他大学の先生方と一緒に、日本の大学に来ている中国人留学生の方の案内で、市内外にある遺跡や建築物の観光に向かいました。
最初に向かったのが、兵馬俑の発掘現場です。兵馬俑の発掘現場である「兵馬俑博物館」はいわずと知れた西安最大の観光地で1974年に発見され、1987年にユネスコの世界文化遺産に登録された有名な場所です。
兵士像は人間と同じ大きさで一体一体が異なった作りで、顔の表情や髪形、服装など実際の兵士をモデルに、丹念に作られていました。 何千体ものすべて違う形の兵馬俑が並んでいる様子は壮大でした。
まだ地中にはたくさんの兵馬俑が眠っていると考えられており、今現在も発掘が進められています。

写真5 発掘途中の兵馬俑
続いて、町の郊外にある「大雁塔」と呼ばれる、西安のシンボル的な建物に向かいました。ここは、西安近郊の観光スポットとして有名で、多くの夜店や屋台が立ち並んでおり、平日にもかかわらず非常に多くの観光客が訪れていました。 記念写真を撮りながらも、一行とはぐれないように着いていくのに必死でした。
最後に、町の中心部にある「鐘楼」に向かいました。これは、600年の歴史がある木造建築で釘を一切使用していないそうで、かつては上部にある大きな鐘で長安の町の人々に時を知らせていたそうです。
「大雁塔」「鐘楼」ともに歴史の古い建造物なのですが、夜になると、観光のために色鮮やかにライトアップされており、歴史的建造物に対する扱いが日本と若干違うなという印象でした。

写真6 ライトアップされた大雁塔

写真7 ライトアップされた鐘楼
さて、全ての日程が無事終了し、あとは日本に帰るだけなのですが、帰りの行きのいやな予想が的中しました。なんと西安発の上海行きの飛行機の出発時間が1時間15分遅れました。その結果、出国手続きが必要な上海空港での乗り換え時間が45分しかなく、つねに広い上海空港内を全速力で走っていました。飛行機にはどうにか間に合ったのですが、非常に心臓に悪い最終日でした。
飛行機が遅れたり、体調を崩したり、質疑応答の時間が予定よりも長いなど、様々なハプニングがありましたが、どうにか無事日本に帰国でき、大変良い経験をさせてもらいました。
最後に、本会議への参加に際し、財団法人スズキ財団よりいただいた財政的援助に対し、この場を借りて改めて感謝いたします。本当にありがとうございました。
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