研究室訪問

秋田県立大学
准教授 間所 洋和

Q.1 先生のご研究及び研究室のご紹介をお願い致します
 私の専門は情報工学で、主に画像処理、ロボットビジョン・コンピュータビジョン、機械学習を研究テーマにしています。具体的にはこれらの技術を組み合わせて、機械学習を使って画像から物を認識したり、ロボットの物体認識や状況の認識等の研究を行っています。
 現在研究室は、佐藤和人教授と2人で運営しています。平成29 年度は修士2年生が3人、修士1年生が6人、学部4年生が8人の構成です。スズキ財団で応募した時には、電動車イスのオートパイロットを目的として、地図を持たずに物体を認識しながら自律運転する研究を行いました。

電動車椅子のプロトタイプ

Q.2 先生は平成25年度のスズキ財団の助成を受けられました。「視覚的顕著性に基づく電動車イスのオートパイロットシステムの研究」でしたが、その研究の進展状況は如何でしょうか
 これまでは、ハードウエアよりソフトウェアの開発を主体に取り組んでいましたが、助成のおかげで電動車イスのプロトタイプを製作することができました。今はそのプロトタイプを使って、いろいろなソフトウェアを開発しています。
 自律移動のデータは継続的に集めていますが、最近の進捗としては、ランドマークを見つけるときに人が邪魔になってしまうので、人の領域を除外して、環境内で最も顕著になるランドマークを見つけるところまで結果が得られてきました。
Q.3 本研究成果の実用化についてどのような計画をお持ちでしょうか
 秋田県は高齢化率全国一位の県なので、高齢者を見守るシステムの開発を行っています。一例として、病院内では、従来の車イスをベッドに近づけるためには何回も切り返しが必要でしたが、今回開発した電動車イスは、四輪独立のバレルタイアで駆動するため、切り返しなくベッドに近づけることができます。

ベッド周辺の見守りシステムの開発も進めている

Q.4 今後の研究の方向性或いは抱負をお聞かせください
 ベッド周辺の高齢者を総合的に見守るシステムとして展開して、病院内などに環境を限定してシステムを開発していく予定です。自動車のオートパイロットは高速処理が求められるため、まずは車イスから実用化にむけたシステムを開発中です。またベッドや冷蔵庫等の家電製品に無電源型の不可視センサーを付けて、日常生活の見守りを目指しています。
Q.5 秋田県立大学における就職活動の状況についてお聞かせください
 秋田県立大学の進学率は3割程度のため、もっと大学院に行ってもらいたいと思います。大学院で入れる会社、担当している仕事が違うことを、進学推進を担当する委員としてPR しています。秋田県立大学は、現状9割後半の就職率を維持していますが、大学院に入って少しでも研究開発の道に進めるよう指導しています。研究室の就職分野としては、情報系の会社や、自動車、食品関係等があります。

開発中のドローン

Q.6 今回の助成以外のご研究で今一番注力されている研究があればトピックスとして差支えない範囲で教えていただけませんか?
 今まで色々な自律移動型のロボットを試作してきましたが、ロボットに乗りたいという希望から電動車イスを開発しました。最近では2次元平面だけではなく、3次元空間を自由に移動して自立支援できないかということで、自律飛行型ドローンで環境をセンシングする研究も行っています。具体的には、ドローンを使って温室効果ガスの測定を行うプロジェクトも進めています。従来は飛行機で1 万mぐらいから観測者が大気のサンプリングを行ってきましたが、本プロジェクトではドローンによる自動計測を目指しています。直近の目標としては、3000m までの観測を目指して、ドローンの自律飛行に取り組んでいます。自動車とドローンは学生にとても人気があります。
 また佐藤先生はドライビングシミュレータによる運転中の人間計測を専門とされており、ヒヤリハット時にドライバーの表情に生じる変化の可視化と定量化について研究しています。秋田県は高齢化が進んでいることもあり、高齢者の運転特性について幅広く研究しています。

ドライビングシュミレータを体験できる機器

Q.7 様々な業界との技術交流の状況について、差し支えない範囲でお聞かせください
 直接業界との連携はありませんが、病院・医療関係からは、試作したシステムの運用や利便性に関して、評価を受けています。また秋田県は農業県で、秋田県立大学は農業関係の業界との連携が強いため、農工連携もテーマとして扱っています。農薬を使わない超音波やLED を使った防除を夜間に行い、殺虫をしないで物理的刺激で害虫を駆除するための基礎研究にも取り組んでいます。
Q.8 スズキ財団の助成について一言お願い致します
 自由度の高い研究費なので、予算の費目を事細かに書かなくて申請できるのは計画段階でありがたいです。絵に描いた餅で予算をたてるのはかなり難しいので、ある程度の自由度があるとありがたいです。

秋田県立大学の校舎

Q.9 最後に理工科系を含む学生へのメッセージをお願い致します
 研究を楽しんでもらいたいと思います。卒論は絶対書かなければいけませんが、ノルマとしてとらえると非常に苦しくなります。研究の中で、物を作ったり、物を動かしたりすることを楽しんでもらいたい。そのためにも学部の卒論までだと瞬く間に終わってしまうので、大学院まで進んで研究の本質を知り、楽しんでもらいたいと切に願っています。