座談会

* 解説キーワード

  • ※1 ハイブリッド・EV::ここでは Hybrid Electric Vehicle のことで、 略してHV。EVはElectric Vehicle=電気自動車で、電池(バッテリー) で回転させるモーターで駆動。HVはエンジンとモーターの2つの駆動源 を備えた車で、HVはガソリンの走行時に自動車の内部で得られる電力 でモーターを駆動させ、外部から電池に充電(給電)することはできない。 EVは家庭用電源からも充電できるが、フル充電するのにかかる時間や 専用接続器具が必要であるなどの関係で、短時間で充電できる専用ス タンドの整備が全国的に進んでいる。プラグインハイブリッド電気自動 車(PHV=Plug-in Hybrid Electric Vehicle)は外部から充電できる 電池とエンジンでの走行の両方が可能な自動車。家庭用電源での充電 が比較的簡単で、専用スタンドでの充電も可能。充電できる専用スタン ドについては、一般社団法人チャデモ(CHAdeMO)協議会が「電 動車両用充放電システム」に関わる固有の技術規格の確立や充放電イ ンフラの整備などに取り組んでいる。
  • ※2 自動車新時代戦略会議:「ツナガル・自動化・利活用・電動化などの 自動車を取り巻く大きな環境変化の中で、我が国産業が世界のイノベー ションをリードし、環境問題や渋滞問題などの解決に積極的に貢献して いくための戦略を検討し、2050 年頃を想定した長期的なゴールを示す」 のを目標に経済産業大臣主催の会議として設置。4月 18 日に第1回会 合を開催。委員は自動車メーカー、同部品メーカーの経営者をはじめ、 大学教授、国際機関やコンサルティング会社の幹部・研究者、新事業 支援会社の経営者らで構成している。
  • ※3 国際エネルギー機関:IEA(International Energy Agency)。第1次 石 油 危 機 後 の 1974 年 にOECD(Organisation for Economic Co-operation and Development=経済協力開発機構、1961 年設立) の枠内機関として設立。事務局はパリ。エネルギー安全保障の確保、 環境保護、経済成長、世界的なエンゲージメント(Engagement)を目 標に掲げ活動している(詳しくは外務省や経済産業省のホームページ等 参照)。
  • ※4 FCV(燃料電池自動車)::Fuel Cell Vehicle。水素と酸素の化学反応 によって発電する構造の燃料電池により、モーターを回して走る自動車。 酸素は空気中から取り込み、水素は従来の自動車のガソリンスタンドの ような専用の供給ステーションで充填するが、充填時間が極めて短いう え、航続距離も長く、走行時に温室効果ガスや大気汚染物質を発生し ないなど、環境面にも優れていると言われる。車の内部に高圧に耐える 水素タンクを搭載することが必要であるとともに、水素ガスは分子のサ イズが小さいことから容器から漏洩しやすいなどの問題が指摘されてい たが、国内自動車メーカーがFCVを開発して、2002 年に世界で初め て政府・省庁にリースを開始。2014 年12月から一般販売されている。 また、燃料電池二輪車(スクーター)の型式認定もされている。
  • ※5 Tank to Wheel Well to Wheel:Wheel=車輪。一次エネルギー の採掘から車両走行まで(に排出されるCO2と必要なエネルギー消費 の総量)が「Well to Wheel」。Well to Tank は同様に、一次エネルギー の採掘から車両の燃料タンクまで、「Tank to Wheel 」は燃料タンクか ら車両走行までを指す。
  • ※6 全固体リチウムイオン電池、革新型の蓄電池:全固体リチウムイオン 電池は、現在の電解液を使ったリチウムイオン電池に比べて、電気化 学安定性とエネルギー密度が高いうえ、難燃性・耐高温性も備えている ため、車載用蓄電池として活用する場合、電池パックの安全部品の点 数を大幅に削減できることなどから、低コスト化・コンパクト化も可能と されている。しかも関連する特許出願件数は、国際的にも日本が約50% と圧倒的に多い。だが、実用化には量産に適した新材料・部品の評価 や車載時のシミュレーションなど技術面の課題が多く、政府は 2020 年 以降の実用化に向け、産学連携による研究開発支援計画(2014 年度 〜2022 年度)を策定。さらにエネルギー密度の高い革新型蓄電池に関 しては、2030年度の実用化を目指している。
  • ※7 ゼロ・エミッション・ヴィークル(ZEV):ゼロ・エミッションは大 量生産、大量消費、大量廃棄の社会構造を持続可能な循環型社会に変 えるために 1994 年に国連大学が提唱したコンセプトで、社会全体で排 出物(Emissions)をゼロにするという考え方。ZEVは走行時に排気ガ スを出さない自動車。
  • ※8 CAFE型の規制:CAFEは Corporate Average Fuel E?ciency の 略で、欧米においても採用されている「企業別平均燃費基準方式」。各 自動車メーカーは「すべての車両の重量区分で燃費基準を達成する必 要はなく、各区分の燃費の実績値を販売台数で加重平均した『CAFE 値』が、各区分の燃費基準を販売台数で加重平均した『CAFE基準値』 を上回ればよい」という内容。各メーカーが「それぞれの技術的な特質 に応じた選択と集中を柔軟に行うことで、全体として高い省エネ効果を 期待できる」とされている。
  • ※9 5G:第5世代移動通信システム。Gは「Generation」の頭文字。「超 高速」だけでなく、身の回りのあらゆる機器(モノ)が同時にネットワー クにつながる「多数接続」、遠隔地にいてもロボット等の操作をスムー ズに行うことができる「超低遅延(指示してから反応するまでの時間の 遅れが極めて少ないこと)」といった新たな特徴を持つ。最高伝送速度 は10Gbps〈1秒間に10ギガビット。現行のLTE(Long Term Evolution=「3.9G」、「4G」と呼ばれる)の100倍〉、100万台 /km2の接続機器数(同100倍)、1ミリ秒程度の遅延(同1/10)で、 2時間の映画を3秒でダウンロードできるとされる。世界の主要国・地 域において研究が進められ、日本政府は産学官の連携により、2020 年 の実現を目指している(詳しくは総務省の「平成29年版 情報通信白書」 など参照)。
  • ※10 HCCI(Homogeneous-Charge Compression Ignition=予 混合圧縮着火):ガソリンエンジンの着火までに燃料と空気を十分に混 合し、その希薄予混合気をディーゼルエンジンのように自己着火させる 燃焼法。低温燃焼のためNOx(窒素酸化物)の排出が低減できるとと もに、燃料と空気が十分に混合されることから、すす(煤)の生成が 抑制され、また熱効率も高く、CO2も削減できることなどが特長とされ る。だが、着火や燃焼温度の制御(コントロール)などの技術的な課 題が挙げられている。