助成事業
助成実績 科学技術研究助成

(助成期間:2023年4月1日〜2024年3月31日)
(大学名等および役職は申請時のもの)
研究課題 | 大学名等 | 役職 | 氏名 | |
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1 | 車両動特性急変時の人間オペレータと支援システムとの競合抑制のためのシェアードコントローラの開発 | 日本大学 | 准教授 | 安藝 雅彦 |
研究要約
高速道路走行中にタイヤがバーストすると車両動特性は急変するが,ドライバがそれを正しく認知・判断・操作することは困難である.事故予防のため車線維持支援システムが介入するとドライバの操舵行動と競合を引き起こす危険性がある.本研究では両者を競合抑制指標の提案およびシェアードコントローラの開発を行う.
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2 | 6G向け超多接続無線環境下における通信路推定手法及び性能解析並びにAI基盤システムの研究開発 | 千葉大学 | 教授 | 安 昌俊 |
研究要約
研究は、人工知能が得意とする画像データ処理に着目し、既存の参照信号の生データを人工知能に学習させるのではなく、これまでの学習と全く異なる画像化手法で複数の位相情報を一つの画像に含ませるデジタルホログラムの様な新しいスペクトログラムの生成とそれを学習させることで超多接続の通信環境の高速・低遅延での推定へ挑戦する。
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3 | 運転疲れを軽減する車内音環境の検討 | 広島市立大学 | 教授 | 石光 俊介 |
研究要約
運転はストレスの連続である。ヤーキーズ・ドットソン則ではストレスが中程度のとき行動効率が最も良い。一方、禅などでは呼吸に意識を向け、集中力の向上やストレスの低減を図る。そこで、車内環境に生体由来の音を加えることによる運転者への影響を調査し、運転疲れの軽減と最適な運転パフォーマンス維持の可能性を探る。
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4 | 4輪独立姿勢制御機構を備えた敷き藁散布ロボットの開発 | 九州産業大学 | 教授 | 牛見 宣博 |
研究要約
農業のスマート化を促進するため、現場ニーズに合致した農作業の負担の軽減として「敷き藁」に着目しロボット開発を試みることとした。本ロボットによれば、敷き藁の作業工程は8割程度軽減できると見込まれる。また、本ロボットが具備する移動機構は様々な用途の畑作業車に応用できる有用性を持つ。
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5 | 車載カメラ映像を対象とした事故危険予測のための注視領域の推定 | 静岡大学 | 教授 | 大橋 剛介 |
研究要約
交通事故の要因は周囲環境のみではなく、運転者が事故要因の対象を注視していたかどうかも関係するが、運転者の注視領域を考慮した事故の危険性を予測するモデルは存在しない。そこで、本研究では、事故の危険度を予測するため、車載カメラ映像から運転者の注視領域を推定するモデルを開発することを目的としている。
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6 | 機械学習によるバーチャルセンサを利用したプレス加工の異常検知の研究 | 国士舘大学 | 教授 | 大橋 隆弘 |
研究要約
プレスにおける様々な異常を想定して機械学習の試みが行われているが,金型の構造上,加工点付近(パンチ又はパンチ先端)にセンサを埋め込むことはハードルが高く問題を難しくしている.本研究では,パンチに紐づけられた機械学習によるバーチャルセンサと,実センサによるプレスせん断加工の異常検知技術を開発する.
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7 | 機械学習を活用した自動車用鋼板における材料組織のトポロジー最適化 | 名古屋大学 | 講師 | 小川 登志男 |
研究要約
近年、自動車用鋼板のさらなる高強度化のニーズに応えるべく、複相組織鋼の高強度・高延性化が重要な課題である。そこで本研究では、従来の実験・理論計算に加え、データ駆動型アプローチを活用し、複相組織鋼における特性発現メカニズムのさらなる本質に迫り、従来の知見からでは着想し得なかった材料設計指針を構築する。
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8 | 熱処理産業の環境負荷軽減のための耐熱鋳鋼に関する研究 | 久留米工業高等専門学校 | 教授 | 奥山 哲也 |
研究要約
熱処理産業では熱処理エネルギーの削減による治具類の軽量化、かつ高温で短時間の処理化が求められている。この要求に対しては従来のJIS鋼種では対応できず、耐熱鋳鋼の高機能化は必須の課題である。本研究では、「市販材の改質」に着目して、市場へ提供可能な低価格かつ高温耐久性に優れた耐熱鋳鋼の研究開発を行う。
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9 | 低環境負荷かつ高効率な電気化学的水素製造システム | 名古屋工業大学 | 教授 | 小澤 智宏 |
研究要約
嵩高い疎水性イオン液体を電極表面に修飾することで,ナノ空間が形成されることを示してきた。また,水素生成菌を模倣したニッケル錯体が高効率に水素を生成することを示してきた。本研究では,このナノ空間反応場に,ニッケル錯体触媒を担持し,低過電圧で水から水素を高効率に精製する水素製造システムを開拓する。
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10 | 多角分解赤外分光法によるフッ素摺動材料摩耗の分子機構解明 | 公立小松大学 | 准教授 | 粕谷 素洋 |
研究要約
低摩擦材料であるフッ素樹脂の摩擦界面において,申請者が開発中の摺動に伴う結合や配向の変化を3次元的に観測できる摩擦用多角入射分解赤外分光法を用い,摩耗が起こる分子レベルのダイナミックスをフッ素材料特有の階層構造の観点から明らかにし,成果を基にした材料・機械システムとしての設計指針の提示を目指す.
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11 | 成形パラメータによる自動車骨格の衝突変形制御技術の開発 | 東海大学 | 講師 | 窪田 紘明 |
研究要約
自動車骨格部材の板厚分布を自在に制御する技術(域差・時間差強制潤滑ハイドロフォーミング)を独自開発した.本申請の研究では開発した成形技術を用いて成形パラメータにより衝突特性を変化させる技術を開発する.本技術は自動車衝突性能の最適化に利用可能である.
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12 | GAN と異常検知手法を用いた市街地向け自動運転のための走行環境変化の認識 | 東京工業大学 | 助教 | 倉元 昭季 |
研究要約
本申請研究では,車載カメラとLiDAR のセンサフュージョンを基盤とした敵対的生成ネットワークと異常検知手法により,道路標示やその周辺環境の変化をオンライン検知する手法を開発する.これにより走行環境の長期的変化に頑健な,高精度・高信頼度の自己位置推定や,自動運転自動車の市街地走行の安全性向上に大きく寄与できる.
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13 | アルカリ金属をドープした熱硬化性樹脂粒子の多方向賦活による比表面積増大と表面改質による電気二重層キャパシタの特性改善 | 大阪公立大学 | 教授 | 齊藤 丈靖 |
研究要約
フラン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等熱硬化性樹脂中にアルカリ金属をドープした球形粒子を賦活することで、比表面積を植物由来活性炭程度に増大させる。また、細孔内の表面改質などで活性炭の細孔構造を精密に制御し、電気二重層キャパシタ用熱硬化性樹脂由来活性炭の高速充放電特性と大容量化を実現する。
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14 | 運行設計条件を超える事象下でのシステム安全のための双対制御機構の開発 | 筑波大学 | 助教 | 齊藤 裕一 |
研究要約
⾃動⾛⾏の下で,⼈の関与の余地をいかに⾃然な形で創出でき,運転者状態を的確に判定でき,運⾏設計条件を超えた事象発⽣時にどのように⾞両を路側帯へ安全に誘導させればよいかは未解決である.本研究では,⾞両制御に必要な⼊⼒信号を運転者状態や特性を同定する信号としても活⽤する双対制御を⽤いて課題解決を⽬指す.
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15 | 重度障害者の自立移動を支援するロボットストレッチャーの移動機能向上 | 九州産業大学 | 教授 | 榊 泰輔 |
研究要約
SDGsの「誰一人取り残さない」という考え方の下、重度障害を補綴・支援することは「一億総活躍社会」への喫緊の課題である。2004年度から全身麻痺障害者の自立移動機器(ロボットストレッチャー)を開発、さらに、直進性、周囲視認性、周辺機器制御など機能向上をはかり、幅広い障害者が活躍する社会を目指す。
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16 | 自動車軽量化のための改良型ドライレーザピーニング法の開発 | 大阪大学 | 教授 | 佐野 智一 |
研究要約
本研究では自動車の安全性向上と鋼板使用量低減による軽量化を目指し、初期強度および初期転位密度が高く塑性変形が困難な高張力鋼板の表面の硬化および表面への圧縮残留応力付与を、前処理および後処理不要で、フェムト秒レーザ駆動衝撃波の伝播制御によって達成する改良型ドライレーザピーニング法を開発する。
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17 | 革新的な磁気粘性グリースダンパによるセミアクティブ制振 | 横浜国立大学 | 准教授 | 白石 俊彦 |
研究要約
本研究では,申請者らが開発した磁場に応答して流動特性が変化する「磁気粘性グリース」を利用した小型・省エネルギー・長期間性能維持可能な可制御型ダンパ,および制振装置の応答遅れがあっても簡易かつ高い制振性能を維持可能な提案する制御則を用いて,構造物のセミアクティブ制振を行いその有効性を検証する.
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18 | 斜め蒸着によるバックコンタクト型ペロブスカイト太陽電池の開発 | 金沢大学 | 教授 | 當摩 哲也 |
研究要約
超高性能なバックコンタクト型Si太陽電池ではフォトリソグラフィーの作製プロセスが必要となっており,低コスト化が難しいことから実用化したが普及に至っていない。本研究では,フォトリソグラフィーをつかわない斜め蒸着によるバックコンタクト構造の構築を提案する。この上にペロブスカイト膜を製膜することで,世界初のバックコンタクト型ペロブスカイト太陽電池の実現を行う。
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19 | マルチマテリアル化に貢献する軽量金属新生面の表面化学的研究 | 一関工業高等専門学校 | 准教授 | 滝渡 幸治 |
研究要約
軽量金属(Ti、Al、Mg等)の加工面の化学的特性を明らかにすることで、加工性向上に向けた加工用潤滑剤の処方を提案し、自動車車体のマルチマテリアル化に貢献する。特に加工の際に形成される金属新生面に着目する。潤滑剤が金属新生面で機能する過程である吸着と反応を直接捉え、表面化学的な観点から研究を推進する。
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20 | 液体急冷を利用した高性能マンガンシリサイド熱電変換材料の創製 | 鳥取大学 | 教授 | 陳 中春 |
研究要約
本研究では、300~600℃の温度域の排熱を直接電気エネルギーに変換することを指向し、液体急冷と放電プラズマ焼結を融合するプロセスにより高マンガンシリサイド(HMS)バルク材料の創製及び結晶粒の微細化や元素の部分置換等の組織制御によるHMSバルク材料の高性能化を目指している。
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21 | 第3の界面相導入による固体電池用界面形成技術の開発 | 同志社大学 | 教授 | 土井 貴之 |
研究要約
全固体電池が抱える最大の課題は、電極と固体電解質の界面接合技術の開発である。この核心的課題を解決するために、これら2つの固相間に第3の界面相を導入して界面リチウムイオン移動性能を高めることにより全固体電池の充放電性能が飛躍的に向上することを実証し、固体電池を搭載した電気自動車の本格的普及を先導する。
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22 | マルチピペットアレイを利用したコンビナトリアル細胞・化学実験の確立 | 豊橋技術科学大学 | 教授 | 永井 萌土 |
研究要約
新薬・新材料の探索は条件が多く,細胞や化学溶液を自在に組み合わせた効率的な候補探索が求められる。これらを半導体加工で形成する単一細胞とnL 溶液を操作するマルチピペットで組み合わせ,フッ素系溶媒内で蒸発を防止しながらコンビナトリアル実験を確立し,多チャネル化により候補材料を効率的に調査する。
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23 | ソルベントフリー物質合成を実現する放射光その場観察 | 筑波大学 | 教授 | 西堀 英治 |
研究要約
有機溶媒を使わずに物質を合成するソルベントフリー物質合成を実現するためにボールミルによる高分子合成と超臨界水を利用した機能性ナノ粒子水熱合成の合成プロセスを放射光その場観察により解明する。
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24 | ミニチュア試験片を用いた電子デバイスはんだ接合部の破損寿命予測法の開発 | 兵庫県立工業技術センター | 部長 | 野崎 峰男 |
研究要約
動作中の電子デバイスはんだ接合部は、疲労とクリープによる損傷を受け続けやがて破損寿命に至る。はんだ接合部の破損を伴う電子機器等の不具合による不測の事故を回避するため、低融点はんだSn-58Biのミニチュア試験片を用いたクリープ疲労試験を実施し、同はんだ接合部の高精度な破損寿命予測法を開発する。
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25 | 重合格子法を用いた全天球画像のCNN超解像再構成 | 九州大学 | 教授 | 原 健二 |
研究要約
重合格子法を用いて、通常の平面画像を対象とする畳み込みニューラルネットワーク(CNN)ベースの超解像再構成手法を360度全天球画像に拡張することで、高精度な全天球超解像を実現する手法を開発する。本手法を実際の全天球画像に適用し、その有効性を検証する。
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26 | 電動車いすの高齢ユーザに向けた触覚刺激による周辺状況の伝達 | 東京都立産業技術高等専門学校 | 准教授 | 古屋 友和 |
研究要約
電動車いすは移動が困難な高齢者や障害者において生活の質の維持・向上のために重要であるが、その事故の殆どは高齢者によるものである。高齢者は視覚・聴覚が衰えるため、本研究では、比較的衰えの少ない手掌部の振動触覚に注目し、触覚刺激により周辺状況を直感的に伝達させる手法を確立し、事故低減に貢献する。
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27 | マルチスケール界面形態制御による高強度アルミニウム/炭素繊維強化樹脂接合体の創製 | 大阪大学 | 助教 | 松田 朋己 |
研究要約
アルミニウム合金と炭素繊維強化樹脂から成る異種材料接合体に対して,超短パルスレーザを用いたマルチスケール接合界面形態制御による継手の高強度化を実現する.特に,界面形態と対応させたマルチスケール力学特性評価を行い界面形態と力学特性の相関を解明することで,他の接合継手にも展開可能な強化原理を検討する.
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28 | プレス成形による波状層界面構造クラッド部材の創製 | 大阪大学 | 准教授 | 松本 良 |
研究要約
積層クラッド板のプレス成形において,塑性不安定の積極的な誘起により内層界面が周期的に湾曲する波状層界面を有する新規なクラッド部材を創製する.加工実験,有限要素シミュレーション解析および機械学習データ分析により波状層界面の形成条件および形成機構を明らかにするとともに,波状層界面構造の有用性を検証する.
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29 | 純銅/アルミニウム合金異種金属積層材の軽量高導電性材料としての検討 | 金沢大学 | 准教授 | 宮嶋 陽司 |
研究要約
2012年,高強度と高発火温度を両立したマグネシウム合金が,米連邦航空局の燃焼試験に合格した.この合金は,硬質層と軟質層から構成される層状構造であるため高強度であるとされる.本研究では,硬質層(純銅)と軟質層(Al合金)から構成される異種金属積層材を作製し,軽量かつ高導電性を兼ね備える複合材料の開発を目指す.
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30 | 機械学習と計測技術の融合による知能化微細形状測定機の開発 | 北九州市立大学 | 准教授 | 村上 洋 |
研究要約
本研究では、ファブリ・ペロー干渉計を光ファイバスタイラス先端部に組み込んだ接触式スタイラスを用いた計測技術と機械学習等の情報技術を融合させることで、微細三次元形状を非破壊、高精度で測定可能な装置の開発を目的とする。
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31 | 非伝搬モードの表面プラズモン共鳴を用いた高精度屈折率センサー | 三重大学 | 准教授 | 元垣内 敦司 |
研究要約
光を垂直入射したときに発生する非伝搬モードの表面プラズモン共鳴を利用した高精度屈折率センサーの実現を目指す。金属回折格子近傍で発生する非伝搬モードの表面プラズモン共鳴の発生機構を明らかにし、センサーの設計と作製を行う。作製したセンサーの透過率スペクトルから非伝搬モードの表面プラズモン共鳴を実証する。
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32 | 水素内燃機関の異常燃焼解明 | 千葉大学 | 教授 | 森吉 泰生 |
研究要約
カーボンニュートラルを実現するため,e-fuelや水素・アンモニア燃料の研究が盛んである.水素はインフラ整備が進められ,既存技術の応用が可能で実現性が高い.しかし,異常燃焼発生や熱効率が低いなどの課題がある.そこで,申請者のガソリン機関での経験を活かし,水素機関での異常燃焼の解明を行う.
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33 | 新波動ブラックホールの短波長の特徴を活かした高遮音構造の研究 | 群馬大学 | 教授 | 山口 誉夫 |
研究要約
輸送機械には軽量と振騒の両立が必要。Krylovは無反射端を持つ高制振構造の波動ブラックホールを提案したが未実用化である。申請者は、ビードに新波動ブラックホールを用いた実用的な軽量高制振構造を提案したが、低騒音で必要な遮音は未解明。短波長の特徴を活かした新波動ブラックホールの遮音構造を提案する。
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34 | 有機電気化学トランジスタの自在応答制御と神経模倣応用 | 東北大学 | 助教 | 山本 俊介 |
研究要約
高分子系の有機電気化学トランジスタ(OECT)素子において、神経動作を自在に模倣することを目標とする。特に応答速度と応答強度の間に従来あったトレードオフの打破を目指す。本課題は非ノイマン型情報処理を行う革新的デバイス動作原理の創出に関するものであり、申請者の専門分野を新たに神経模倣素子に応用したものである。
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35 | 希土類酸化物準結晶の創製と機能創出 | 名古屋大学 | 准教授 | 柚原 淳司 |
研究要約
本研究では、結晶とアモルファスの中間的存在である準結晶の利点を活かした酸化物準結晶を創製する。具体的には、新奇な機械的特性、化学的、磁気的および電気的性質を持つ希土類元素を含む酸化物準結晶を創製し、機能創発を目指す。特に、摩擦係数や摩耗量に注目し、既存のセラミックスや結晶との違いを明らかにする。
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36 | 放電表面改質プロセスによるチタン表面への窒化アルミニウム皮膜の創製 | 大同大学 | 准教授 | 吉田 昌史 |
研究要約
本研究ではチタン表面への窒化アルミニウム層の形成技術の開発を行う。アルミニウム被覆したチタンに対して放電表面改質を適用する新たな表面改質プロセスを確立する。次世代自動車では,軽量,高放熱,高耐摩耗,耐絶縁性など複数の機能を持つ構造部品が求められているが,これに対応できる耐摩耗・多機能な軽量部材の開発の実現を目指す。
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37 | レーザー誘起粒子衝撃試験による表面改質法の開発と軽量材料への展開 | 中央大学 | 教授 | 米津 明生 |
研究要約
レーザーアブレーション誘起によってマイクロ・ナノ粒子を高速で射出するレーザー誘起粒子衝撃試験法を開発する.対象材料への粒子衝突速度は1,000m/s以上で,その衝突時の高速塑性変形は,転位運動よりも高速なため新しい加工硬化層(ナノ双晶やナノ結晶化)を生成でき,軽量材料の強靭化や耐摩耗性の向上が期待できる.
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38 | Li-電子混合伝導体正極を用いた全固体Li-空気電池の電極設計 | 九州大学 | 准教授 | 渡邉 賢 |
研究要約
Li-空気電池は、その高いエネルギー密度のため、車載用電源としての利用が期待されている。本研究では、Liイオン伝導性ガーネット型Li7La3Zr2O12 を用いた全固体Li 空気電池実現にむけ、正極へのLi-電子混合導電性LiMO2(M=Co, Ni, Mn)の可能性を評価し、遷移金属の組合せが電池特性に与える影響から正極材料の設計指針を確立する。
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39 | 単結晶ヘテロ凝固核を用いた金属3Dプリンティングの組織制御 | 名古屋工業大学 | 教授 | 渡辺 義見 |
研究要約
Al3Tiは結晶対称性の悪い結晶構造を有し,Alと格子マッチングが結晶面によって異なる.したがって,任意の結晶方位を持つAl3Ti単結晶をヘテロ凝固核として利用すれば,組織制御が可能となる.Al3Ti単結晶をフラックス法により作製し,それをヘテロ凝固核とした3Dプリンティング実験で実証・応用化する.
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(助成期間:2023年4月1日〜2024年3月31日)
(大学名等および役職は申請時のもの)
研究課題 | 大学名等 | 役職 | 氏名 | |
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1 | リチウムイオン電池の全固体化におけるセル内部構造の設計とその性能評価 | 秋田大学 | 特任助教 | 安部 勇輔 |
研究要約
本研究では,全固体リチウムイオン電池(LIB)の内部構造に着目して従来設計とは異なる構造を提案するとともに,その構造を採用することで全固体LIBの内部抵抗の低減を目指す。全固体LIB評価セルの試作と性能評価を繰り返し,より低い内部抵抗を有し,かつ単セルあたりの蓄電量が大きい全固体LIBの構造とその設計条件を見極める。
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2 | ダイヤモンドフレークの創成と放熱材料応用 | 九州大学 | 助教 | 稲葉 優文 |
研究要約
本研究では、世界に先駆けてフレーク状のダイヤモンドを作製し、これをフィラーとして柔軟な樹脂中に複合し、電界整列法により熱輸送路を形成して充填率を下げながら、フレキシブル、高熱伝導率、電気絶縁の3 つの機能を併せ持つフレキシブル伝熱シートを作製し、デバイスからの放熱部材としての応用可能性を模索する。
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3 | 薄膜の電気熱量効果の評価システムの開発 | 産業技術総合研究所 | 研究員 | 宇佐美 潤 |
研究要約
IT 化がもたらす廃熱問題に対し、薄膜強誘電体の電気熱量効果(ECE)は小型かつ高効率な冷却技術応用が期待される。しかし、実験的困難さのため正確に評価されていない。薄膜温度センサと交流電場を利用した直接測定により、薄膜強誘電体の熱的特性の正確な評価を行い、応用に向けた高性能材料探索・開発に貢献する。
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4 | 液化燃料の噴射口内部流動の可視化 | 東北大学 | 助教 | 大島 逸平 |
研究要約
液化ガス噴霧時、ノズル噴口で気泡生成が確認されている。液化ガスの低沸点特性のため、既往手法で気泡生成機構を正確に理解することは難しい。本研究では、ノズル壁面温度とノズル出口圧力を制御する高速度可視化実験装置を開発し、系統的実験によりノズル内流動と気泡生成機構を可視化し、気泡生成機構を明らかにする。
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5 | モード曲線理論が繋ぐ大変形航空機の3次元静解析と1次元動解析 | <東北大学/td> | 助教 | 大塚 啓介 |
研究要約
国民生活を支える空の基地局:衛星航空機やカーボンニュートラル達成に欠かせない低燃費旅客機の設計開発を可能とする新規解析手法【モード曲線理論】の構築を行う.提案手法は動解析においてこれまで無視されてきた大変形の考慮を実現する.提案手法の解析精度を風洞実験で実証する.
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6 | バーハンドルに作用する力の解析と4脚歩行ロボットによる再現 | 奈良先端科学技術大学院大学 | 助教 | 織田 泰彰 |
研究要約
盲導犬使用希望者数に対して盲導犬の数が不足している.本研究では,盲導犬から人への告知,人から盲導犬への通達,誘導の際のバーハンドルに作用する力を解析する.バーハンドルに力センサを搭載し,計測された力を意思を表す信号として理解する.研究成果は,4脚歩行ロボットを用いた盲導犬ロボットの構築に貢献する.
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7 | 超磁歪アクチュエータを用いた次世代型車両の車内音響制御システムの構築 | 東京工科大学 | 助手 | 加藤 太朗 |
研究要約
本研究では次世代型車両の一つである超小型EV の車内音響制御システムの構築を目指す.提案するシステムでは,超磁歪アクチュエータを用いた壁面振動により制御音波を出力する.本申請では,超小型EV 搭載用の超磁歪アクチュエータの設計指針の確立と曲率を持つ壁面振動による音波の出力特性の把握を目的とし研究を行う.
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8 | 強化学習と切削シミュレーションを活用したエンドミル加工条件の自動決定 | 茨城大学 | 助教 | 金子 和暉 |
研究要約
強化学習とシミュレーションを用いて,エンドミル加工における最適切削条件を自動的に導出することを目的とする.シミュレーション上で切削した際の種々の物理量の予測結果からAI モデルを訓練し,力学的に適切な条件を導出する.本課題では既定の工具経路について,最適な送り速度を決定することを目標とする.
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9 | 混錬による樹脂中粒子の分散状態制御技術の確立と導電性ペーストへの応用 | 法政大学 | 助手 | 北村 研太 |
研究要約
導電性粒子と樹脂を混錬することで製造される導電性ペーストの特性は、同一材料組成であっても混錬条件により変化する。これは樹脂中での粒子分散状態に起因するが、混錬によるその制御方法は確立されていない。そこで本研究では樹脂中粒子の分散状態、および導電ペーストの特性を容易に制御できる混錬の指針を確立する。
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10 | 複数周波数帯の超音波を用いた無芯注射による高分子薬剤の経皮投与 | 東京農工大学 | 准教授 | 倉科 佑太 |
研究要約
複数の振動子で超音波の周波数を重畳化させ,これまで経皮での浸潤投与が困難であった高分子薬剤をニードルレスで効率よく送達する方法を構築する.具体的には,共振点の異なる振動子を同時に皮膚に照射可能な超音波照射デバイスを設計・製作し,キャビテーションと音響流の相乗効果で投与効率を飛躍的に向上させる.
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11 | 炭素繊維強化熱可塑性アクリル樹脂複合材料の強靭化 | 大阪産業技術研究所 | 研究員 | 桑城 志帆 |
研究要約
モノマー含浸法により作製する炭素繊維強化熱可塑性アクリル樹脂複合材料(アクリルCFRTP)の強靭化を目指す。具体的には、加熱により容易に重合可能なウレタンプレポリマーをアクリルモノマーにブレンドし、炭素繊維に含浸後、同時に重合する手法を用いて、アクリル/ウレタンCFRTP を創成する。更に、プロセス条件が与えるポリマーブレンドの高次構造とCFRTP 力学特性との関係を解明する。
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12 | 革新的リハビリテーション実現に向けた運動錯覚制御法の開発 | 九州工業大学 | 助教 | 小村 啓 |
研究要約
運動錯覚とは腱に振動を与えると実際の運動を伴わずに運動感覚が生起する錯覚現象である.我々は運動錯覚をリハビリに応用するべく運動錯覚制御のための研究を進めてきた.しかし,刺激による腱・筋の剛性の変化で安定した錯覚生起は困難であった.本研究では,身体状態の変化も考慮に入れた新たな錯覚制御手法を提案する.
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13 | 光スイッチ触媒を用いる産業向けポリ乳酸樹脂の効率的合成法の開発 | 茨城大学 | 助教 | 近藤 健 |
研究要約
カーボンニュートラルの実現に向けて、植物由来のプラスチックの普及が急務である。しかし、現状では耐熱性に課題を残しており、産業利用が困難である。本研究では波長に応じて触媒能を切り替える光スイッチ触媒を用いて、耐熱性の高いステレオコンプレックス型ポリ乳酸の効率的合成法の開発を行う。
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14 | 廃棄されるエンプラを出発原料とする多孔性錯体結晶の創製と応用 | 東邦大学 | 准教授 | 今野 大輝 |
研究要約
高度な吸着分離性能を示す規則性ナノ細孔材料として知られる多孔性錯体結晶は、次世代の分子分離材料として産業界から大きな注目を集めている。本研究では、自動車用エンジニアリングプラスチックとして広く利用され、そしてリサイクルせずに廃棄されるPBT樹脂を出発原料とした多孔性錯体結晶の新規合成法を確立し、それを用いた環境浄化技術を提案する。
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15 | 高出力性と巧緻性を併せ持つ知能化接触制御機構の開発 | 電気通信大学 | 助教 | 佐藤 隆紀 |
研究要約
本研究では,ヒトと物理的なインタラクションを伴う人間社会で共存するロボットのための,接触制御機構の開発を目的とする.動物の筋骨格の構造と制御から着想した,重量物を動かすような大きな力を発揮する高出力性と柔らかいものや壊れやすいものに優しく触れる巧緻性の両性質を併せ持つ従来にない機構を開発する.
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16 | 立体的な幾何学的拘束を有する高出力ソフトアクチュエータの開発 | 岡山大学 | 助教 | 下岡 綜 |
研究要約
本研究は,リハビリ機器などの支援機器に適用可能な高出力ソフトアクチュエータの開発を目的とする.パンタグラフ機構と樹脂板による立体拘束具を用いてアクチュエータを幾何学的に拘束し,湾曲動作などの柔軟性を維持しつつ出力/重量比の高いアクチュエータをめざす.その応用として,下肢の支援機器の開発も行う.
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17 | 立ち上がり支援に向けた被支援者の心理的自立の意思検出の挑戦 | 東京工業大学 | 助教 | JIANG MING |
研究要約
生活支援装置の開発では、一般に被支援者の身体能力に応じて支援を行うが、「機械に頼らず自らの力で動作を完遂したい」という心理的自立の意思まで配慮する研究はない。本研究は独自に提案する機械で使用者に力学的外部刺激を与え、その刺激に対する人の反応を測定・解析・評価し、心理的意思を検出する手法の実現に挑む。
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18 | 音を用いた流体内成分の分離技術の開発と分離速度向上に関する研究 | 東北大学 | 助教 | 庄司 衛太 |
研究要約
2050 年カーボンニュートラル社会の実現には,二酸化炭素を分離・回収する技術が鍵の一つになる。そこで本研究は,新しい分離技術として音を用いた流体内成分の分離技術の開拓を目的とする。期間内には装置開発によって本分離プロセスを実証するとともに,多孔体を用いた分離速度の飛躍的向上を目指す。
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19 | 排熱設計に基づく高強度近赤外発光デバイス開発 | 大分工業高等専門学校 | 助教 | 常安 翔太 |
研究要約
申請者は、形状の自由度に優れた独自の排熱システムにより世界で初めて低温駆動可能な分散型電界発光(EL)デバイスを開発した。本研究では、独自の排熱システムを熱失活の影響が顕著な近赤外光へと展開するため、励起エネルギー移動に基づく近赤外EL を実現するとともに、熱失活抑制による高強度近赤外EL を実証する。
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20 | 建築空間での特殊音響現象の学習におけるVR の活用方法提案 | 福岡大学 | 助手 | 中 貴一 |
研究要約
フラターエコーなど,室内空間の機能性を保証するために回避するべき特殊な音響現象がある。これらは建築学を学ぶ上で学習が必須だが,実空間での体験を伴った学習は手軽でない。本研究は特殊な音響現象を生む室内空間をVR で再現し,仮想空間での体験を伴う学習の認知心理学的効果を明らかにし,その活用法を示す。
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21 | 異なる樹脂を用いたテーラード部品の3Dプリンティング | 旭川工業高等専門学校 | 助教 | 中川 佑貴 |
研究要約
本研究では異なる種類の樹脂によって構成されるテーラード樹脂部品の3Dプリンティング方法を開発する.2つのノズルを持つ3Dプリンターを利用し,印刷中にカシメを内部に形成することで,機械的に異なる種類の樹脂を接合する.本研究によって適用可能な樹脂の種類や印刷条件を明らかにする.
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22 | トンネルフリーザーによるヒトiPS細胞凍結プロセスの設計モデル構築 | 東京大学 | 助教 | 林 勇佑 |
研究要約
スケールアップの有力な手段であるトンネルフリーザーを用いて、ヒトiPS細胞をいかにして凍結するかを、シミュレーションと実験を組み合わせ、さらにサロゲートモデルを作成することで明らかにする。それにより、トンネルフリーザーの適用方針を簡便に得られるようになり、大量生産に対応が可能になることが期待される。
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23 | CFRPから回収したリサイクル長炭素繊維の水質浄化材料への応用 | 香川大学 | 助教 | 平野 満大 |
研究要約
炭素繊維強化プラスチックから回収したリサイクル長炭素繊維の水質浄化材料への応用可能性を見出す。まず、模擬汚染水に炭素繊維を浸漬し、微生物吸着特性を評価する。次に、熱分解法が及ぼす炭素繊維の表面特性への影響を調査することで、リサイクル長炭素繊維の表面特性と微生物吸着特性との相関性を解明する。
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24 | 分数スロット永久磁石形モータの高トルク・低騒音ドライブの開発 | 東京工業大学 | 助教 | 藤井 勇介 |
研究要約
電動パワーステアリングでは,高トルク・低トルク脈動の利点を有する分数スロット永久磁石形モータが使用されるが,固定子が楕円形状に振動するという問題がある。本研究では,2 台のインバータ駆動によるトルク向上および零相電流重畳による楕円振動の低減により,分数スロットモータの高トルク・低騒音化を実現する。
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25 | 機械加工により生じる表面粗さが触り心地および指の振動に与える影響 | 日本文理大学 | 助教 | 穂刈 一樹 |
研究要約
本研究では,機械加工により生じる表面粗さと触り心地の関係を指の振動を基に明らかにし,加工面の触り心地を評価可能な新たな評価手法を構築することを目的とする.具体的には,指先で加工面を触った際の触り心地と指の振動を計測し,振動の振幅スペクトルを基に触り心地を評価可能な手法を構築する.
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26 | ナノ多孔体・ナノ多結晶シリコンの熱電変換材料の構造最適化 | 東京農工大学 | 准教授 | 堀 琢磨 |
研究要約
排熱を電気に変換できる熱電変換材料としての性能向上のため,シリコンをナノ多孔体・ナノ多結晶からなる複合構造化した際の最適構造を明らかにする.具体的には,変換効率を支配する熱伝導率が,どの構造の際に最適となるかを,フォノン輸送解析により評価する.これにより過去の変換効率を上回る新材料の生成を実現する.
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27 | AlGaN/GaN ヘテロ接合の2次元電子のドリフト速度-電界特性の解明 | 東京大学 | 助教 | 前田 拓也 |
研究要約
AlGaN/GaN 高電子移動度トランジスタ(HEMT)は,パワーデバイスや高周波増幅デバイスとして非常に有望であり,研究開発が活発化している.電子デバイスの動作を考える上で,ドリフト速度の理解は必要である.本研究では,AlGaN/GaN ヘテロ接合における2DEG のドリフト速度の電界依存性を詳細かつ系統的に解明する.
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28 | 炭素繊維複合材料における繊維間狭小空間内での相分離構造と物性評価 | 神戸大学 | 講師 | 松本 拓也 |
研究要約
炭素繊維強化複合材料中の炭素繊維間の狭小空間でのマトリックス樹脂の相分離挙動を解明し,力学特性との相関を明らかにする。特に,空間的な制約や炭素繊維表面との界面相互作用により,通常の樹脂のみの相分離構造とは異なる相分離挙動が予想され,その構造と力学特性を明らかにし,新たな材料設計につなげていく。
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29 | 3Dプリント生物模倣高耐久超濡れ構造体の構築 | 産業技術総合研究所 | 研究員 | 真部 研吾 |
研究要約
セルフクリーニング機能を有する超撥水表面は、宇宙、自動車、建築等の様々な産業において重要な技術である。本研究では、生物の堅牢な装甲に着想を得て、超撥水性を生むナノ構造、耐久性を生むマイクロ構造、衝撃吸収性を生む相互接合界面を複合化することで、高耐久超撥水構造体の実現を目指す。
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30 | 効率的な加工振動データ同化を実現する工作機械のモデルアーキテクチャー | 京都大学 | 特定助教 | 大和 駿太郎 |
研究要約
工作機械の正確なシミュレーションには,実加工振動データに基づく境界条件の逐次推定・更新が重要である.それには,境界条件を柔軟に変更しながら時間領域で効率的かつ忠実にシミュレート可能なモデル表現が必要となる.本研究では,上記を実現する部分構造縮退モデルの連結による新しい工作機械モデル表現を構築する.
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