助成事業

助成実績 科学技術研究助成

2011年度 科学技術研究助成

(大学名等および役職は申請時のもの)

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研究課題 大学名等 役職 氏名
1 細胞から任意形状の組織を磁場により構築するTissue-CAMの開発 大阪大学 講師 秋山 佳丈
研究要約
本研究では、申請者がこれまでに提案してきた磁気アルキメデス効果を用いたラベルフリー高速細胞アセンブリ法を発展させ、生体外において細胞から 3 次元組織を造形するシステムの開発を行う。特に、機械加工における CAM 同様、3 次元データを基にコンピュータが自動で細胞を任意の位置にアセンブリし 3 次元組織を造形する Tissue-CAM システムの構築を目指す。
2 ベアリングレスモータの高効率化・高出力密度化 静岡大学 准教授 朝間 淳一
研究要約
ベアリングレスモータは、主軸を磁気力により非接触で支持可能な電磁回転機である。これまでに、コンタミフリーの遠心ポンプへの応用を見据え、磁束が三次元的に流れる新しい構造のベアリングレスモータを提案したが、鉄心にバルク純鉄を用いているため鉄損が大きく、高効率化が課題である。本研究では、近年新しく開発された高機能低鉄損材料である圧粉磁心を適用することで、ベアリングレスモータのさらなる高効率化を検討する。
3 排熱利用型熱光起電力発電セルのための低バンドギャップ有機半導体を用いた赤外線吸収材料の開発 静岡大学 教授 植田 一正
研究要約
本研究では、申請者の見出した1μmに最長波長吸収を持つ低バンドギャップ半導体を骨格として有する、熱光起電力発電(TPV 発電)のための光電変換セル用の赤外線吸収材料の開発を行う。エネルギー源としてエンジンの排熱を想定しているため、赤外線領域での光吸収と耐熱性の双方を備えた材料開発が必要となる。この課題を克服するために、理論計算による材料設計と、設計に基づいて作製した材料の物性評価を平行して行う。
4 曲げ加工による形材の断面変形を積極的に発生させる技術の開発 埼玉大学 准教授 内海 能亜
研究要約
これまでのアルミニウム合金押出形材の曲げ加工に関する研究は、各種不良現象を抑制する高精度な曲げ加工法に関する研究が行われてきた。本研究では、これまでの研究の着想とは異なって、不良現象を積極的に発生させ、押出形材を任意の断面形状に変化させる新しい成形法を提案する。1工程で押出形材に曲げ加工を施し、曲率と断面形状を同時に与えるための成形法を、曲げ実験およびシミュレーションによって調査する。
5 高密度・精密階層酸化チタンナノ結晶担持グラフェンの開発と展開 東京理科大学 嘱託助教 遠藤 洋史
研究要約
本研究提案では、超分子・界面化学からのアプローチ(超分子ハイブリッド界面ナノエンジニアリング)によりグラフェンおよび酸化チタンナノ結晶を超分子ゲル内に精密階層化した新しい自立性ソフトマテリアルを創製し、優れた電気化学的・機械的強度を有する高性能フレキシブル電極フィルムの開発を目指す。
6 ゴム材の摩擦特性の負荷履歴依存性に関する研究 横浜国立大学 助教 尾崎 伸吾
研究要約
ゴム材の摩擦特性には、バルク内部の変形に起因したヒステリシス損失が影響を及ぼす。また、その変形は負荷履歴依存性を示すことが知られている。本研究では、万能試験機と摩擦試験装置を併用することで、ゴム材の負荷履歴依存性およびそれに伴う供試材の形状依存性について、系統的な試験を実施する。また、摩擦モデルおよび有限要素解析を用いた検討を併せて実施し、ゴム材の摩擦特性に対する負荷履歴依存性について把握する。
7 超高張力鋼板の重ね継手を可能にするクリンチ接合法の開発 石川工業高等専門学校 教授 加藤 亨
研究要約
軽量化技術の開発は地球環境の問題から重要な課題である。本研究は冷間で軽量化板材を塑性接合するため、自動車産業をはじめ多くの産業において軽量化開発の基礎となる重要な研究である。研究対象は超高張力鋼板であるが高強度で低延性な特性から、加工時に割れなどの欠陥が生じやすく、塑性接合は容易ではない。そこで、板成形に鍛造の技術を活用しこの問題を解決する。そして板材を選ばない設計自由度の高い接合工法を開発する。
8 アルコール燃料の着火制御へ向けた低温酸化反応機構の解明 名古屋大学 助教 菅野 望
研究要約
近年二酸化炭素排出量の削減や化石燃料の代替燃料としてバイオアルコールへの注目が集まっているが、その着火制御に不可欠となる低温酸化反応機構に関する理解は不足している。本研究ではエタノール及び 2-プロパノール低温酸化反応で重要となる CH3CHOH,CH3C(OH)CH3 と酸素分子の反応について実験計測と理論計算を行い、申請者が過去に研究した CH2OH と合せ目的反応に関する置換基効果等の系統的な検討を行う。
9 TPAとSEAによる振動源同定と振動伝達経路の評価手法に関する研究 長崎総合科学大学 准教授 黒田 勝彦
研究要約
自動車分野では、主に固体伝播音や空気伝播音の低減を目的に、伝達経路解析(TPA)と統計的エネルギー解析法(SEA)が実験的もしくは解析的に検討が進められてきた。これまで両手法の関係は、TPA の予測による入力を SEA の入力パワーとして援用された例が見受けられる。本研究では、振動源の同定と振動伝達経路に関して両手法が比較できる新たな評価方法を提案し、その有効性を検証することを目的としている。
10 超高強度鋼板のせん断加工に関する基礎的研究 日本工業大学 教授 古閑 伸裕
研究要約
まず、超高強度鋼板のせん断切口面特性、製品形状精度、加工力特性などの基礎的研究を行う。つぎに、同鋼板が難加工材であることに鑑み、せん断加工金型の問題点解決のための基礎的研究、即ち最適金型材質選定、最適金型表面処理法の選定等を行い、そして実機摩耗試験を実施することにより、これらの金型技術に関する基礎的研究を行い、もって当該両基礎的研究に資するような資料・知見およびノウハウを取得する。
11 革新的表面改質プロセスによる小型歯車の高強度・長寿命化 慶應義塾大学 教授 小茂鳥 潤
研究要約
高周波誘導加熱微粒子ピーニング(以下、IH-FPP と呼ぶ)システムは、鋼を変態点以上の温度に加熱しながら直径50m程度の粒子を高速投射できる装置である。当該研究ではこの装置を利用して、微細粒に加えて高い圧縮残留応力を鋼に付与することを試みる。具体的には、クロムモリブデン鋼に独自に開発した熱処理を施し、高い疲労強度の実現にチャレンジする。研究の成果は、小型歯車の高強度化の実現に資することになる。
12 ハイブリット自動車搭載高性能長寿命メカニカルバッテリーの開発 宇宙航空研究開発機構 助教 小柳 潤
研究要約
リチウムイオンバッテリー並のエネルギー密度を有し、かつ繰り返し使用に対する耐性を含む耐久性に優れる CFRP フライホイールメカニカルバッテリーを開発する。キー要素は CFRP の繊維/マトリクス界面の接着強度である。従来の方針とは反対に、この界面強度がやや低いCFRP を用いることで、高性能フライホイールの実現が可能であることが解析的に示されており、本研究ではこれを実証する。
13 ダイヤモンド半導体の高温動作に向けた非貴金属配線材料の開発 大阪府立大学 准教授 齊藤 丈靖
研究要約
ダイヤモンド半導体の高温安定動作に対応する配線材料として、1)半導体製造プロセスとの高い親和性、2)耐熱・耐酸化性雰囲気での安定性、3)非稀少金属、という観点からチタン系の導電性材料である TiBCN を選択し、高温放置試験、電流負荷による抵抗上昇試験から、その可能性を検討する。特に、高性能バイポーラデバイスに向けたリンドープ n+層への最適化を行い、1 kA/cm2 以上の電流密度を実現する。
14 手触りで加工面粗さがその場で判別出来るハンディーな指サック型触覚センサシステムの開発 福島大学 教授 島田 邦雄
研究要約
2001年に本申請者により開発された磁気混合流体(MCF)を天然ゴムに混ぜることにより作成できる指紋形状付きの超高感度の触覚ゴムセンサを適用して、加工による表面粗さが簡易な方法により現場で判別出来るためのハンディーなセンサシステムの開発研究を行い、自動車における流体抵抗の軽減を図るためのボディーの加工面の新しい検査技術の提案を行う。
15 パーソナルモビリティビークルの人間中心安全制御 慶應義塾大学 准教授 髙橋 正樹
研究要約
「誰でも乗れるパーソナルモビリティビークル(PMV)」をコンセプトとし、PMV の安全性と人間の快適性の双方の向上を目指し、省エネルギーを実現する人間中心安全制御系設計の確立を目的とする。車体の移動機構に加えて、車体の傾斜角を理論的に制限内に保証する制御手法を提案し、倒立振子型 PMV 特有の不安定性を積極的に利用した加速を実現し、その効果として車体の移動量を少なくし、エネルギー効率の高い移動を実現する。
16 サイン輝度が弱視者(白内障)の視認性に及ぼす因子の評価法に関する研究 名城大学 准教授 塚田 敦史
研究要約
本研究は、サイン等の案内表示を白内障者等が視認する際の、サインとサイン周辺の輝度及びその関連因子と、視認性との因果関係を定量的に評価することを目的とする。具体的には、暗室環境内に内照式視認実験用模擬サインを設置する。サインを含む空間内輝度を、実生活環境での評価が可能となることを目標に、静止撮像データから輝度を抽出可能なシステムを構築する。そして実験協力者のサイン視認性とサイン輝度値との因果関係を提示する。
17 舶用機関を目的とする噴霧モデルの構築を目指した非定常噴霧の微粒化機構に関する基礎研究 九州大学 助教 鶴 大輔
研究要約
本研究では、高圧回流風洞を用いて、高圧下においてディーゼル噴霧と周囲気体の相対速度を大きく変更した条件を実現し、超拡大レンズおよびパルスレーザと高速度カメラの光学システムを用いて、ノズル近傍の液柱微粒化過程の詳細な観察と噴霧の伝ぱ過程を詳細に可視化計測することで噴霧液滴の分裂と拡散を支配する因子を明らかにし、実用的なディーゼルエンジン用 CFD コードの確立に寄与することを目的とする。
18 ミクロ構造制御による高エネルギ吸収能を有する繊維強化複合材料積層構造設計 東京理科大学 助教 中谷 隼人
研究要約
比較的小さいひずみ領域で脆性的に破壊する材料として知られる炭素繊維強化複合材料に対し、ミクロ構造の制御によって大変形能の付与が可能であることを最近実験的に見出した。本研究では、このメカニズムを解明し、さらに大変形下での有限変形積層板解析理論を構築する。これをもとに、自動車等輸送機関への適用に向けた、大変形による高エネルギ吸収能を有する炭素繊維複合材料積層構造の設計手法を確立する。
19 定容容器における予混合燃焼に及ぼすNOxの影響 九州大学 助教 永野 幸秀
研究要約
本研究は、火花点火機関の更なる熱効率向上を目指し、排気再循環(EGR)が燃焼に及ぼす影響を明らかにするため、EGR ガス成分の一つである NOX が燃焼に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。火花点火機関内での燃焼を考慮し、定容容器内を伝播する予混合火炎を対象として調査を行う。イソオクタン/空気混合気に NOX を添加することで、NOX が層流および乱流燃焼速度等の燃焼特性に及ぼす影響について検討を行う。
20 高精度化およびサイクルタイム低減を目的としたアルミニウム合金金型を適用した Heat&Cool 射出圧縮成形による薄肉樹脂製品製造技術の確立 岐阜大学 助教 新川 真人
研究要約
樹脂薄肉製品の高精度化およびサイクルタイムの低減を目的として、①アルミ合金金型、②Heat&Cool射出成形、③射出圧縮成形 を組み合わせることにより、高付加価値化を実現する成形技術の確立を目指す。本研究では、成形品の形状精度(寸法、そり量)、金型表面微細模様の転写性およびサイクルタイムを評価項目とする。また、成形中の溶融樹脂の状態を温度・圧力の変化によってデータ化し、成形特性との相関関係を考察する。
21 微小振動型発電素子の混変調振動を利用した高効率化に関する研究 東北大学 助教 原 基揚
研究要約
本研究は環境振動を利用した発電子の飛躍的な高効率化に関するものである。環境振動で励振される振動子に自励振動を追加すると、自励振動と環境振動が振動子の非線形性によって混変調し、高周波帯においても振動が励起される。環境振動は時変的で不安定なものであるが、自励振動の周波数を制御し、高周波帯の混変調振動を振動子の共振周波数と常に一致するようにすることで、超高効率な微小発電子の実現が期待される。
22 ヒト型双腕ロボットによる自動化生産技術を目指したプレート操り動作の開発 同志社大学 教授 廣垣 俊樹
研究要約
両手作業の自動化技術において、ヒトの両手を協調させた盆の操り動作をヒントにして、ヒト型双腕ロボットを用いた双腕協調運動による産業用の作業プレートの高度な操り動作問題に取り組む。その中でも、プレート上でボールの転がり運動を2軸旋回のプレートの運動で制御する動作を取り上げ、その解析および制御技術の検討を通じて、フレキシビリティとなめらかと正確さを有する作業プレートの運動制御の手法を研究する。
23 繰り返し学習同定法を用いた小型無人ヘリコプタのモデリングと飛行制御 山梨大学 教授 藤森 篤
研究要約
本研究は、小型のラジコン(RC)ヘリコプタをベースとした無人航空機(UAV)システムの構築を通して、より広範な飛行環境下で利用可能な自律飛行制御技術を確立する研究である。具体的な研究内容は、小型 RC ヘリコプタのモデリングと制御器設計、飛行シミュレータの開発、飛行制御シミュレーションとその評価・改善であり、研究室のスタッフと学生との協力を得て実施する。
24 エレクトロスピニング法を用いたLiおよびNaイオン電池次世代材料開発 産業技術総合研究所 研究員 細野 英司
研究要約
高性能LiおよびNaイオン電池開発へ向けて、豊富な種類の元素を用いたナノ構造材料作製が可能なエレクトロスピニング法を利用した研究を行う。新規大容量正極材料の探索および開発、さらには、固体電解質との複合ナノ構造の作製を目指す。エレクトロスピニング法というゾルーゲル法由来の簡易な方法を利用した、ナノ複合材料作製法の確立とデバイス特性の向上を行う。
25 ヘビ型ロボット群システムの提案および実現化検討 静岡大学 助教 益子 岳史
研究要約
本研究は、研究代表者が展開してきた鎖状移動体(Flexible Chainlike Walker, FCW)モデルに関する物理研究の工学的応用可能性を探る試みである。新たな機械システムの一例として、ヘビ型ロボットと群ロボットを融合した「ヘビ型ロボット群」を仮想的に提案し、数値シミュレーションによってその特長や優位性を探り、実現可能性の検討を行う。
26 高出力回転直動モータの開発とサブミクロン制御 豊橋技術科学大学 特任助教 真下 智昭
研究要約
回転直動モータは、単一の立方体形状に穴が開いたステータと、その穴に通されたシャフトから構成され、ステータを振動させることによりシャ フトは回転と直動を自由に生み出すことができるというアクチュエータである。本研究では、産業用メカトロニクス機器への応用を目指し、回転直動モータを高出力化するための研究開発を行い、それをサブミクロンオーダーの精度で精密制御を行うことを研究目的とする。
27 技術者のモチベーション・スキル・パフォーマンスの相互促進モデルの研究 埼玉工業大学 教授 宮崎 洋
研究要約
個々の技術者が保有する技術やスキル、モチベーションと、職場の組織風土やリーダーシップなどの組織力と、技術者が業務を通じて達成する成果(パフォーマンス)が相互にどのように関連しているかを分析・構造化し、相互の関連をモデルとして整理する。成果は製造業における技術者の育成に資する総合的かつ効果的なプログラム構築の基礎とすることを目的とする。
28 大型セダンと同等の高速操縦安定性を、軽自動車で実現する 山梨大学 教授 毛利 宏
研究要約
軽自動車の高速操縦安定性を既存の大型乗用車と同等以上にすることを目的とする。軽自動車は構造上、大型乗用車に比べてホィールベースが短い。そのため、操舵応答性、外乱安定性に弱点を抱えている。本研究では、左右の駆動トルクを制御して車両にモーメントを適切に加えることにより、大幅に性能向上させる手段と、その力学的な理論背景を明らかにする。制御は操舵角やヨーレイトセンサの信号に基づいて行う。
29 FBG光ファイバセンサ体成形による複合材料スマート接着構造の開発 静岡大学 准教授 矢代 茂樹
研究要約
本研究では、複合材料シングルラップ継手に FBG 光ファイバセンサを一体成形したスマート接着構造を作成し、接着はく離を常時モニタリングする技術を構築する。接着部に繰返し負荷が加わると接着部ははく離し、繰返し数の増加に伴ってはく離は進展する。FBG センサを用いてはく離に伴うひずみ分布を計測し、構造・光学解析によって検証する。さらに、接着部に複数のセンサを埋め込み、接着はく離先端の形状を推定する。
30 水素脆化の迅速検査技術の開発と自動車用高強度部材への適用 大阪大学 助教 米津 明生
研究要約
自動車を始めとする国民生活機械の開発において、燃費低減のための軽量化策や強度信頼性の観点から、高強度鋼の使用が見られるが、一般に鉄鋼材料を高強度化すると周囲環境の僅かな水素によって水素脆化が発生する。そこで、本研究では微小なダイヤモンド圧子を材料表面に接触させるだけで脆化特性を測定できる評価技術を開発する。これにより、簡易かつ迅速に水素脆化検査が行え、機械の安全性確保や生産プロセスの改善に繋がる。
31 ナノ粒子の凝集制御による新規金属—空気電池用電極材料の開発に関する基盤研究 静岡大学 教授 鈴木久男
研究要約
電気自動車の電池の性能向上のため、次世代の革新的電池として期待されている金属−空気電池の電極材料は、耐酸化性の問題から炭素に代わる新しい電極材料が探索されている。本研究は、新しい電極材料として、カルシウムとアルミニウムと酸素から成るナノ粒子電極材料を開発するもの。
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過去の助成実績

所属・役職は申請時当時のまま記載しております。