助成事業

助成実績 科学技術研究助成

2013年度 科学技術研究助成

(大学名等および役職は申請時のもの)

指で左右にフリックしてご覧ください。
研究課題 大学名等 役職 氏名
1 安心・安全のための車載単眼カメラによる非侵襲およびローコストな歩行者センシング技術に関する研究 岩手大学 准教授 明石 卓也
研究要約
広く普及できる安価で安心・安全なシステムのための車載単眼カメラを用いた歩行者や自転車運転者のセンシングが本研究の目的である。姿勢変化による見えの変化、傘、鞄などの携行物によらず、適応的かつ高速・高精度なアルゴリズムの開発を目指す。また、移動方向などの推定も目的のひとつとする。本研究では動画像処理に進化的手法を取り入れた進化的動画像処理を用い、必要最小限の規模のシステムを設計し、高速動作を実現する。
2 地域活性化のために開発された低速モビリティの活用に関する実証的研究 群馬大学 教授 天谷 賢児
研究要約
申請者らは、地域交通の低炭素化と地域活性化に寄与するために「低速電動バス」を開発してきた。このバスの特徴は走行時速が 19km 以下である点で、現在市内の商店街や観光地域での活用が進められている。本研究では、実際の走行時におけるバス内からの周囲の視認性や快適性等について詳細な分析を行い、「低速電動バス」の有用性と明らかにするとともに、このような新しいモビリティの普及に必要な基礎データを取得する。
3 すす生成制御のための拡散火炎場における微小液滴列が形成する輝炎の観察 金沢大学 准教授 榎本 啓士
研究要約
微小液滴を火炎中に投入した時の液滴及び、煤の燃焼により生じていると考えられる輝炎の様子をミクロな視点から捉え定量的に評価を行った。実際の噴霧を構成する直径 30um の液滴を連続生成する装置を開発し、この装置を用いて進行方向に対して直列する液滴列を生成した。この液滴列をブタン拡散火炎に投入した時の輝炎の発生具合を高速度カメラで撮影し、また液滴の様子を CCD カメラとストロボカメラを用いて微視的に観察した。
4 熱硬化性及び熱可塑性CFRPのリサイクル技術の開発 静岡大学 助教 岡島 いづみ
研究要約
近年、自動車本体の軽量化による燃費向上のために、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)に置き換えるための研究開発が行われている。本研究では、現在、産業に広く用いられている熱硬化型 CFRP と、今後、生産性の面と環境面から使用量が増加すると考えられている熱可塑性樹脂を用いた CFRP のリサイクルとして、マトリックス樹脂を分解・除去して、熱劣化等による強度低下を抑えた炭素繊維を回収する技術の開発を行う。
5 自動車用高強度鋼板の一貫製造最適化による材質制御指針の確立 木更津工業高等専門学校 助教 小川 登志男
研究要約
近年、自動車車体への高強度鋼板の適用が進んでいるが、高強度鋼板の材質支配因子については必ずしも明らかになっていない。高強度鋼板の材質を精度良くコントロールするには、各製造プロセスにおける鋼板のミクロ組織変化に関する正しい理解が必要となる。そこで本研究では、自動車用高強度鋼板の作り込みにおいて、焼鈍だけでなく熱間圧延及び冷間圧延条件も考慮した一貫製造最適化による新たな材質制御指針を提案する。
6 自動車の自動運転システムにおけるドライバーのシステム監視能力向上のための情報提示に関する研究 東京理科大学 助教 小木津 武樹
研究要約
本研究は、自動運転システムが行う「認知・判断・操作」を可視化するデバイスや手法を開発し、ドライバーのシステム監視能力との関係を明らかにすることで、ドライバーによる自動運転システムの効率的な監視のあり方を提案する。具体的には、シミュレーターや小型電気自動車の自動運転システムを用いた被験者実験を行い、被験者の反応時間、走行軌跡、生体情報などから、開発したデバイスや手法を定量的に評価する。
7 木材組織を模擬したセル構造からなる衝突エネルギー吸収部材の開発研究 兵庫県立大学 教授 海津 浩一
研究要約
セル構造体は多数の空孔のつながった稜や面がネットワークを作る軽量な多孔質固体である。本研究では、金属ブロックに規則的に配置された多数の孔を機械加工等により設けることで木材組織の持つ異方性を模擬したセル構造体を提案する。そして、自動車の衝突安全性の向上を目的として、このセル構造体を基に軽量かつ高いエネルギー吸収性能をもち、また斜め方向からの衝突に対しても有効な衝突エネルギー吸収部材を開発する。
8 液体内部の微小発熱体周りの温度分布測定 首都大学東京 准教授 角田 直人
研究要約
水の近赤外分光特性を利用した温度イメージング法を用いて、液体内部に存在する微小発熱体周りの温度測定および発熱量推定を実施する。この方法では、軸対称温度分布に対して、透過光線上に沿った吸収係数の積分値が得られるため、Abel 逆変換によって断面温度分布を計算する。発熱金属細線、誘導加熱された磁性粒子などを対象に、時系列温度画像を取得し、各種加熱条件おける発熱量を推定する。
9 ハイポイドギヤ・ベベルギヤの歯面形状修正システムの開発と汎用NC工作機械による歯車加工への応用 新潟大学 准教授 川﨑 一正
研究要約
本研究は、ハイポイドギヤ・ベベルギヤの加工の高精度化、高能率化を図ることを目的として、歯当たり解析と三次元測定機による測定に基づいた歯面形状修正システムを開発するとともに、自由度の高い任意の歯面形状修整を考慮した設計法を確立し、汎用 NC工作機械による歯車加工へ応用展開するものである。
10 可変圧力プロファイル/金型温度制御の最適プロファイルによる射出成形法の開発 金沢大学 准教授 北山 哲士
研究要約
本研究では、射出成形品の飛躍的品質向上のため、射出成形における射出圧と保圧力を時間的に変化させ、同時に金型温度も制御する革新的射出成形法を提案する。品質向上問題を多目的最適設計問題として捉え、コンピュータシミュレーションと機械学習による多目的最適設計法を用いて最適なプロファイルを求め、品質が飛躍的に向上することを検証する。
11 未利用木質バイオマスを利用したプラスチック用機能化フィラーの作成と複合化 静岡大学 准教授 小島 陽一
研究要約
森林資源の利用において、間伐材や林地残材等の未利用バイオマス資源の付加価値利用が急務の課題となっている。本研究では、未利用バイオマス資源からプラスチックを飛躍的に強化することが可能なバイオフィラーを作成し、これをプラスチックに相溶する高機能バイオフィラーに改質するとともに、この高機能バイオフィラーを様々な用途に使い勝手の良いコンパウンド(複合材料)へ変換する一連の技術を確立することを目指す。
12 有機導体からなるナノアクチュエーターの創製とその電気・磁気評価 東京農工大学 講師 帯刀 陽子
研究要約
近年、特異機能を発現する分子操作及び階層化は、ナノテクノロジーにおけるボトムアップアプローチとして多くの研究がなされている。本提案では、集合状態で導電性を有する分子群を螺旋状の形態に自己組織化させ、電子と磁気との相関を明らかにすることで新規ナノデバイスの構築を目指す。高導電性分子の設計及び基板界面制御法を発展させ、幅 1 分子、コイルピッチ 10 nm 程度の「導電性ナノコイルの創成」に挑戦する。
13 三次元測距センサユニットの高機能・高性能化に関する研究 北陸先端科学技術大学院大学 教授 丁 洛榮
研究要約
自律走行するロボットや車において、周囲の三次元環境を認識する技術が重要である。従来の三次元センサは、パンチルド型のレーザレンジファインダーが主流を占め、大きさと消費電力の問題から小型ロボットに搭載することが困難であった。本研究では、単一モータによる小型軽量三次元測距センサユニットの開発と、得られた距離データから物体を認識する手法を提案することで、様々な用途展開が可能な三次元計測システムを実現する。
14 TSVD を用いたプローブアレイによる高機能画像再構成システムの開発 産業技術総合研究所 主任研究員 西村 良弘
研究要約
プローブアレイ UT は欠陥を画像化し安全検査に用いられる。その画像再構成法はリニア/セクタスキャンなどが一般的であるが、逆問題解法を使えばより多くの情報が得られる。しかし直接逆問題解法を行おうとすると UT 測定系の応答関数行列の非正則性のために安定的に高品位欠陥画像を計算できないことが多い。本研究では TSVD 法を適用することで正則化を行い、形などより情報量の多い欠陥画像を得られる手法の検討を行う。
15 逆可塑化機構を利用したポリカーボネートの力学特性と表面特性の向上 北陸先端科学技術大学院大学 助教 信川 省吾
研究要約
ポリカーボネート(PC)は透明性の高い高分子材料であり、光学用途などに用いられている。本研究では金属塩を利用し、高い表面硬度と透明性を兼 ね備えた新規 PC 材料の設計を目指す。特に、金属塩による逆可塑化現象が力学強度と密接に関係しており、本現象の分子レベルでの理解が必要不可欠 である。最終的には、PC の強度の向上、熱膨張の抑制に留まらず、脆性を抑える新規逆可塑化 PC 材料の提案を目指す。
16 筋骨格モデルを用いた自動車乗降動作の生体力学評価 首都大学東京 教授 長谷 和徳
研究要約
本研究では、自動車乗降動作に注目し、乗降動作のしやすさ、し難さを筋骨格系への力学的負担の観点より定量的に分析することを目的とする。最初の段階ではモーションキャプチャ装置など大規模な計測装置と精密な全身力学モデルを用い、可能な限り精密な計測評価を行う。この大規模精密評価結果を縮約することにより、最終的には簡易な計測機器を用いながら精密な生体力学負荷評価が可能な手法の開発を目指す。
17 Turbo charger 用 TiAl 金属間化合物耐酸化コーティングのペスト酸化の影響 徳島大学 教授 長谷崎 和洋
研究要約
turbo charger において、排ガスを直接受ける高比強度 TiAl 金属間化合物タービン材の耐酸化性が向上するコーティングを開発する。特に本助成研究では、ペスト酸化と呼ばれる 500℃〜700℃の中温域の酸化によりコーティング層が粉体化する現象の解明を行う。これにより、燃焼温度上昇が可能となることでエンジン効率が向上し、消費燃料の削減による地球温暖化を防止する寄与できることを最終研究目標とする。
18 マイクロチューブ用の全温プローブの開発 鹿児島大学 准教授 洪 定杓
研究要約
本研究では直径 100〜500 m のマイクロチューブを流れるガスの熱伝達特性の高精度評価のため、ガスへの伝熱量を測定するための全温プローブを開発し、これまでの数値計算結果を検証する。さらに、先行研究で提案した伝熱量の推定式が適用できるよどみ点温度 Tstg、よどみ点圧力 pstg の範囲を明らかにする。
19 高圧力二次電池の充放電技術の開発 兵庫県立大学 教授 前田 光治
研究要約
高性能な充放電ができる二次電池の開発が重要になってきている。二次電池の充電量や劣化は電極に依存し、充放電により電極表面における緻密な結晶核発生や成長が維持されなければならない。超高圧力下においては、エントロピーが減少し、より多く体積が減少する方向に反応が進むため、結晶核発生や結晶成長においては、緻密で、格子欠陥の少ないものが得られ、かつ液相中の二次核発生も抑制できることが本質である。電極反応にこの高圧力を適用することで、高性能、長寿命でかつ高電流による急速充電にも耐えうる二次電池を開発することが可能であると考えられる。本研究は、次世代二次電池の高圧力による飛躍的性能向上の可能性を、鉛蓄電池、ニッケル水素、リチウムイオン電池で検討することを目的とする。
20 交通事故における電動車いす乗員の衝突挙動に与える乗員保護装置の影響 東京都市大学 教授 槇 徹雄
研究要約
電動車いすの社会への浸透に伴い、電動車いすが関わる交通事故も発生している。一方政府の交通事故死亡者数低減目標達成のためには電動車いすの交通事故も注目すべき課題の一つと考えられるが、乗用車と比較して衝突安全性の検討は充分とは言えない。本研究では実車実験及びコンピュータ解析により電動車いす乗員の受傷メカニズムの明確化、対策方法や交通事故におけるひき逃げ捜査の着眼点に関する知見を得ることを目的としている。
21 ガラス基板への 0.5 ミリ径ねじ穴加工 芝浦工業大学 教授 松尾 繁樹
研究要約
申請者らは、フェムト秒レーザーを用いて、ガラス・サファイア等の透明な脆性材料内部に任意の三次元形状を持つ空洞をマイクロメートルスケールで作製する技術の研究を行ってきた。本研究では、サブミリメートルという比較的「大きな」形状の「正確」な三次元加工技術を開発する。その具体的なターゲットとして、シリカガラス基板への小径ねじ穴(JIS B 0201 ミニチュアねじ S0.5)の加工を目指す。
22 視覚的顕著性に基づく電動車いすのオートパイロットシステムの研究 秋田県立大学 助教 間所 洋和
研究要約
本研究では、簡易性と機能性をコンセプトとして、電動車いすの自動運転を実現するためのオートパイロットシステムの開発を目的とする。レーザレンジファインダや全方位カメラ等の高価なセンシングデバイスを使用せずに、測距センサと単眼カメラのみからオートパイロットを実現する。また、走行用ラインやランドマークを事前に設置することなく、視覚的顕著性に基づいてビジュアルランドマークを自動検出するメカニズムを構築する。
23 上肢切断肢の皮膚表面形状変形と回転式センサを利用した5指同時駆動方式による実用志向型電動義手の製作 岐阜工業高等専門学校 准教授 森 貴彦
研究要約
現在、筋電信号を用いた義手の研究が盛んに行われているが、使用者の意思通りに義手の動きを制御するのが困難で、実用化の目処が立っていない。そこで、使用者の意思が確実に反映される切断肢先端の骨の回転運動によるダイナミックな動きを回転式センサで直接捉え、これを電動義手の5指同時駆動方式の指令値生成に用いることにより、使用者の意思に沿ったシンプルで再現性の高い動作を実現する実用志向の電動義手を製作する。
24 液中パルスアーク放電による高品位窒化アルミニウム粉末の製造法の開発 静岡理工科大学 専任講師 吉田 昌史
研究要約
電極にアルミニウムを用いて液体窒素中でパルスアーク放電を発生させることができる窒化アルミニウム粉末製造装置を作製する。次に、作製した同装置を用いて、放電時の電流・電圧値の経時変化の点から放電波形を管理し、粉末の粒度分布・大きさ・形状制御を試み、窒化アルミニウム粉末の生成条件を明らかにする。これらの結果を取りまとめ、高品位窒化アルミニウム粉末の新たな製造プロセスの確立を目指す。
25 ドラッグデリバリーシステムの流体解析における粉末薬剤特性モデルの開発 上智大学 准教授 渡邉 摩理子
研究要約
数値流体力学は気道内の粒子の輸送を調べるためのツールとして吸入薬の開発に活用されているが、粒子の特性は入力として与えられるのみで、気道内における性状変化は考慮されていない。高性能化が進む吸入デバイスや薬剤粒子に対応した薬剤送達システムシミュレーションを可能にするため、本研究では吸入デバイスから肺胞へ薬剤が至るまでに起こる粒子の物理的特性の変化を実験的に獲得して新たな粒子特性モデルを開発する。
26 自動車の軽量・高機能化を実現する方向性気孔を有するポーラスアルミニウムの開発 早稲田大学 教授 鈴木 進補
研究要約
本課題は、自動車の軽量化・高機能化を実現する方向性気孔を持つポーラス金属の開発を目的とする。軽量、高剛性、衝撃吸収性を持つピラーのため、純 Al パイプと 6061 合金溶湯を連続鋳造法により溶融接合してポーラス Al 合金を作成し、塑性加工、T6 処理により強化する。また、軽量、放熱性、高温強度に優れたエンジンブロックのため、純 Ni パイプを純 Al 溶湯に浸漬後、凝固させポーラス Al 合金を作成する。Al と Ni との金属間化合物により、強度、耐熱性を向上させる。
27 実用応力経路を受ける自動車用材料の破断限界の基礎的研究 東京農工大学 教授 桑原 利彦
研究要約
既存の二軸バルジ試験機に、デジタル画像相関法(DIC)を用いた非接触ひずみ計測装置を組み合せた世界初の金属板材用二軸応力試験機を新規開発し、自動車車体の設計において喫緊の課題である次の問いに答えるための、部材設計指針を確立することを本研究の目的とする:「所与の板材が、予ひずみ(部材成形時のひずみ経路)を受けた後、継続の塑性ひずみ(車両衝突時に受けるひずみ経路)を受けたとき、その材料はいつ破断するか?」
指で左右にフリックしてご覧ください。

過去の助成実績

所属・役職は申請時当時のまま記載しております。