助成実績

社会発展の基礎を築く研究を課題提案の形式により研究活動に携わる研究者から広く募り、優れた提案に対し研究助成を行うもので、従来の研究助成に加えて平成15年度から実施した。

今までの課題提案型研究助成の募集課題と採択された研究テーマは下表のとおりです。

2021年度(令和3年度) 課題提案型研究助成(助成期間;2021年8月~2023年5月)(大学名等および役職は申請時のもの)

研究課題 大学名等 役職 氏名
1 中低温での二酸化炭素還元触媒の開発 千葉大学 准教授 大場 友則
研究要約
環境エネルギー問題の中で、CO2は喫緊の課題の一つであり、様々な削減技術が提案されている。その中で、申請者は400~500℃の中温でのCO2削減触媒の開発に取り組んできた。本提案研究では、ナノ触媒の物理・化学構造の精密制御による新規アプローチでの高活性触媒開発を行うことで、これまでの熱還元の常識を凌駕する中低温(300℃以下)でのCO2還元を可能とするナノ触媒の開発を行う。
2 リチウム金属を負極とするバルク型酸化物系全固体電池の創製 長崎大学 准教授 山田 博俊
研究要約
固体電解質と金属Li を組み合わせた全固体電池を実現するには,充電時に金属Li が固体電解質内部に成長し,短絡することを抑えなければならない。申請者は,電気化学・材料力学の協奏効果に基づき,多孔Li-Sn 電極を提案る。構造と電気化学特性の相関を精査し,短絡が生じる臨界電流密度として実用的な2 mA/cm2 以上を目標に掲げる。さらに,正極合剤層と組み合わせて実電池として動作することを実証する
3 精密構造化貴金属タングステートによる廃棄物系バイオマス燃料電池電極触媒への展開 静岡大学 准教授 加藤 知香
研究要約
本研究では,申請者が独自に開発した精密構造化・高強度化貴金属ポリオキソタングステートをバイオマス由来ナノファイバーと分子レベル複合化・炭化させることで,国内の廃棄物を最大限に活用した高性能型燃料電池電極触媒の新製造技術を確立することを目的としている。
4 ライフサイクルアセスメントを考慮した運輸部門シミュレーションモデルとシナリオの開発 東京工業大学 准教授 時松 宏治
研究要約
本研究では募集課題に例示されたCO2低減技術、2050年カーボンニュートラルに向けた技術と燃料等を利用する将来社会のシナリオ像を描く。従来のTank-to-WheelやWell-to-Wheelでのエネルギーの分析とは異なり、ライフサイクルアセスメント(LCA)を考慮した鉱物・水資源や環境影響を含めたシミュレーションモデルを開発し、カーボンニュートラル社会における運輸部門のシナリオ分析を実施する。

2020年度(令和2年度)課題提案型研究助成(助成期間;2020年7月~2022年5月)(大学名等および役職は申請時のもの)

研究課題 大学名等 役職 氏名
1 自動運転技術の物流拠点における適応を目指した移動物体認識技術の開発 金沢大学 教授 菅沼 直樹
研究要約
自動運転では自車周辺の移動物体の形状とその運動状態の推定が重要となる。一方、市街地には例えばトレーラトラックなど、旋回時に車体形状が大きく変化する物体も存在している。このため本研究では、人や車などの通常移動物体に加え,車体形状が変化する移動物体にも適応してその形状と運動状態を推定可能な汎用的な移動物体認識技術を開発する。これによって物流拠点が隣接する市街地を含む様々な場所での自動運転を可能とする。
2 ゲートウェイ用低コスト高セキュリティSwitch-IPの開発 岡山県立大学 教授 有本 和民
研究要約
小型、低エネルギー消費車両およびIoT機器に向けた、ゲートウェイ用低コスト高セキュリティSwitch-IPを開発する。従来はソフトウェアで実現していたSwitch機能の一部をハードウェア化をすることで、ソフトウェア負担が軽く低消費電力で、組み込み用途に使用される低廉なMCUで制御可能なセキュアなゲートウェイが構築できることを実証する。
3 路面摩擦係数のリアルタイム測定が可能なインテリジェントタイヤによる車両制御の実現 金沢大学 教授 立矢 宏
研究要約
車の走行時に生じるタイヤ側面ひずみから路面摩擦係数を測定可能とし,車両制御への応用を図る.これまでに基本的な方法を提案し,低速条件で測定精度を,実車走行で測定値の定性的な妥当性を確認した.本課題では,これらの結果を基に実時間での安定した測定法を確立する.さらに,実車走行時における定量的な精度を確認するとともに,測定した路面摩擦係数を車両制御に応用し,種々の路面での安定した制動,操舵制御を実現する.
4 次世代移動体用 磁気式内部力補償ブレーキ機構 ・制御の技術開発 東北大学 准教授 多田隈 建二郎
研究要約
移動体において,その制御における要素であるブレーキ機構は非常に重要なものである.従来のブレーキは油圧による保持力生成を主としていたが,これからの電気式の移動体の普及拡大に備え,電磁気式ながらも極めて高い保持トルクを生成する装置が必要となっている.この必要性を鑑み,磁石式の内部力補償現象を用いて,微小操作力のみで,入力変位を極高保持トルクへ連続変換可能な次世代ブレーキ制御が本研究テーマの内容である.