助成事業

助成実績 科学技術研究助成

2012年度 科学技術研究助成

(大学名等および役職は申請時のもの)

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研究課題 大学名等 役職 氏名
1 たわむ素材を用いた羽ばたき翼の空力特性と流れ構造 木更津工業高等専門学校 教授 石出 忠輝
研究要約
災害時における空撮、沿岸監視や日本が 2020 年の打ち上げを目指して検討している次期火星探査を目的として、小型飛行体の開発が急ピッチで進められている。本研究は、大空を自由に舞うことのできる鳥や昆虫の羽ばたき飛行メカニズムに着目し、小型飛行体の設計に組込んでいくことを研究目的としている。具体的には翼素材としてフィルム素材を採用し、ヒービング運動に応じて程よくたわませることによって、低コストで空力特性の良好な翼を開発するものである。
2 大きな鋳造欠陥を有するアルミダイカスト合金のための実用的疲労限度推定方法の破壊力学的検証 立命館大学 教授 上野 明
研究要約
高速回転型回転曲げ疲労試験機と、リアルタイム疲労き裂観察システムを用いて、鋳造欠陥を含むアルミダイカスト合金の「実用的疲労限度推定方法」を提案するとともに、応力ベースの推定だけではなく、破壊力学的考察も加え、提案する推定方法の信頼性を高める。併せて、提案する方法が、アルミニウム以外の非鉄軽量金属へも適用可能かどうかを検討する。
3 生体適合性を有する高分子ナノポーラス膜の創製とインプラントMEMSへの応用 群馬大学 准教授 上原 宏樹
研究要約
現在、糖尿病センサー隔膜として用いられているアルミナ製ナノポーラス膜は割れやすく、インプラント(体内埋め込み)型 MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)に実装することは難しい。本研究では、申請者らが培ってきた高分子膜のナノポーラス化技術を、生体適合性を有する「ポリ乳酸」に適用し、この膜をインプラント型グルコース・センサーに実装することを目指す。
4 ティルトロータ型 UAV における中低速域飛行制御系 神戸大学 助教 浦久保 孝光
研究要約
ティルトロータ機は、ヘリコプタモードによる定点滞空から飛行機モードによる高速移動までが可能であるが、2つのモードの中間領域となる中低速域では複雑な空気力が加わり、その自動飛行制御の実現は容易ではない。我々は対人安全性を高めた独自形状を持つティルトロータ型UAVを開発中であり、本研究では、その中低速域での動力学モデルおよび自動飛行制御系の構築、さらに高効率な中低速飛行の検討を行う。
5 逆磁歪効果を利用した高接触面圧測定システムの開発 香川大学 教授 大上 祐司
研究要約
自動車などの燃費効率を高めるため、動力伝達装置では表面強化機械要素を用いて装置を小型・軽量化する方向に進んでいる。数 GPa の高面圧での機械要素の接触状態が実験的に明らかとなれば、高接触面圧での最適表面設計や高信頼性機械要素の開発が可能となる。そこで、逆磁歪効果を応用した強磁性体薄板センサによる接触面圧測定システムを開発するために、力磁場印加装置を用いた応力と残留磁化の定量的関係を明らかにする。
6 ナトリウム硫黄電池用の高性能ナトリウムイオン伝導体の材料開発 三重大学 助教 大西 拓
研究要約
ポストリチウム二次電池として、ナトリウム硫黄電池が期待されている。ナトリウム硫黄電池の固体電解質には、ナトリウムイオン伝導体が用いられているが、高いナトリウムイオン伝導性を示す物質は開発途上である。この研究の第一の目的は、量子化学計算により高性能ナトリウムイオン伝導体をマテリアルデザインすることである。次に、実際にマテリアルデザインされた物質の合成実験を行い、実証することを第二の目的とする。
7 機器に発生するトラブルの事前予測および余寿命診断への物理モデルの適用 大阪市立大学 教授 川合 忠雄
研究要約
工場で稼働している機器を効率的に運用するために現在用いられている診断技術では、これまであるいは現時点での機器の状態を計測し、現在、機器がどのような状態にあるかを推測することは可能であるが、今後機器がどのような状態になるかを予測(余寿命予測)することはできない。申請の研究では、対象機器の物理モデル・損傷モデル・損傷進展モデルを作成することにより、上記の課題を克服する手法を開発する。
8 多孔質体微視的構造による熱および物質移動促進現象についての研究 静岡大学 教授 桑原 不二朗
研究要約
透過性に優れた高性能発泡多孔質体の実現により、熱および物質移動性能が飛躍的に促進され、あわせ、反応性のよい環境機器の開発、機器の小型軽量化による環境性能向上が実現可能となる。本研究は、発泡多孔質体に現れる特異な高効率熱移動現象の解明および構造・材料等の諸条件を特定し,高性能熱機器の実現を目指すものである。目的実現のため、理論解析的、数値解析的、実験的など多角的観点により研究に取り組む。
9 理想的界面をもつナノコンポジットモデル薄膜の創製 山形大学 准教授 小池 邦博
研究要約
現行型のハイブリッド自動車用高出力モーターに登載される高耐熱性ネオジム永久磁石には、重希土類元素(HRE)の添加が必須である。HRE の大量消費は資源問題へと繋がる恐れが高い。本研究ではこの課題に対して薄膜プロセスを駆使することで、理想的界面を有するナノコンポジットモデル薄膜を創製し、高保磁力と高エネルギー積を同時達成可能な HRE フリーネオジム焼結磁石のマテリアルデザインの指針獲得を目指す。
10 コース追従にともなう蛇行を解消する車両運動制御システムの開発 近畿大学 准教授 酒井 英樹
研究要約
本研究は、ドライバの疲労低減並びに自動車を操る楽しさと快適性の向上のために、車線維持に伴う僅かな蛇行を解消する新しいシステムの基礎開発と、そのための基盤技術整備を行う。具体的な研究内容は、蛇行を解析することでドライバの操舵を補償するための制御則を導出する。次にその制御と同時に車両応答も向上しうるパワステアリングの制御則法を明らかにする。最後に以上を組合せたシステムを構築し、その効果確認をおこなう。
11 肉体的負荷軽減のためのパワーアシストロボット 埼玉大学 助教 境野 翔
研究要約
本研究では、ウェアラブルロボットによってパワーアシストを実現し、労働の肉体的負荷を軽減させることを目的とする。ウェアラブルロボットによるパワーアシストでは、人間が直接環境を操作するため直感的なロボットマニピュレーションを実現できる。座標変換を用いて人間支援タスクを抽象化することにより、ロボットの動特性と制御系設計論を分離し、環境やロボットの機構が変更しても実用可能なウェアラブルロボットを開発する。
12 粉末冶金技術による金属—セラミックス系傾斜機能材料のバインダー配合率傾斜を用いた残留熱応力制御 群馬大学 助教 鈴木 良祐
研究要約
金属-セラミックス系傾斜機能材料を耐熱材料として用いる場合、高温でセラミックスに発生する引張応力が問題となる。室温下でセラミックスに残留圧縮応力を与えれば、この問題を解決できる。本研究では粉末冶金を用いた残留応力が制御可能な傾斜機能材料作製法を提案し、有効性を実験的に確かめる。本方法では、熱応力の原因となる熱膨張率差をバインダ傾斜配合による収縮率差で相殺するため、作製過程の熱応力も緩和できる。
13 廃プラスチック資源リサイクルのための成形プロセスCT温度分布計測 千葉大学 教授 武居 昌宏
研究要約
本研究では、電気コンピューティッド・トモグラフィー(CT)法を用いて、バージン・プラスチック・ペレットの温度分布のリアルタイム可視化計測を行い、さらに、添加剤混入時における廃プラスチック・ペレットの固化過程の温度分布を、3D+時間の 4D でリアルタイム可視化計測し、射出成形金型内の温度分布可視化計測法を確立させることを目的とする。
14 指向性制御型パラメトリックスピーカを用いた電気自動車における接近通知音システム 静岡理工科大学 講師 武岡 成人
研究要約
本研究ではこれまで研究を進めてきた指向性制御可能なパラメトリックスピーカを用いた車両接近通報システムを提案する。パラメトリックスピーカとは超音波を介した極めて鋭い指向性を持つスピーカである。HV,EV 車の車両接近通報装置を指向性制御可能なパラメトリックスピーカで構成することにより,局所的かつ選択的に車両接近音を放射し,周囲環境に対して低騒音で利便性の高いシステムの構築を目的とする。
15 CFRP/チタン合金スタック材の穴加工 大阪府立大学工業高等専門学校 准教授 田代 徹也
研究要約
最新の航空機では、CFRP とチタン合金の重量比が大きく、これらを重ね合わせた構造の部分も多い。このため、製造上これら材料を重ね合わせた状態で穴加工する頻度も多い。しかし、CFRP、チタン合金とも難削材料であり、工具摩耗が激しく、加工精度や生産効率等の問題点も多く残されている。そこで、これら材料を重ね合わせた状態のものを被削材として貫通穴加工実験を行い、工具寿命や加工精度の改善を目的として研究を行う。
16 分子性フィラーによるプラスチックの耐熱性向上と低屈折率化 京都大学 助教 田中 一生
研究要約
低屈折率高分子材料は反射防止膜や光ファイバーの構成要素などに実際に工業化されている。ここで、屈折率をより低下させると材料自体の耐久性が低下するという問題が生じる。本研究では、材料の機械的特性は保持しつつ、高分子材料の低屈折率化を行うことが可能な分子フィラーを作成する。内部に隙間が多く剛直なかご型シルセスキオキサン(POSS)を基盤とした分子を合成することで目標を達成する。
17 食料と競合しないセルロース由来新規燃料の小型汎用動力源への適用 茨城大学 講師 田中 光太郎
研究要約
石油に依存し過ぎないエネルギーセキュリティーという側面と環境負荷低減という側面に有効なバイオ燃料の中でも、近年食料と競合しないセルロースなどから高効率に精製可能となった新たなバイオ燃料として着目されるフラン類が、汎用エンジンに適用可能かを明らかにすることを目的とする。本研究ではフラン類の中でも 2 メチルフランの着火特性、エンジン適用性を明らかにする。
18 マイクロレンズアレイを用いた高精度視覚マーカによる測位技術の研究 産業技術総合研究所 研究員 田中 秀幸
研究要約
我々はマイクロレンズアレイを用いた新しい原理による視覚マーカ(AR マーカ)を開発し、従来のARマーカでは不可能なレベルでの高精度な姿勢推定を実現した。本研究ではこの高精度視覚マーカを用いて生活支援ロボットの自己位置推定や位置合わせを自動で行うシステムを構築する。その中で、本マーカの実用化に向けた課題の抽出および本マーカを活用した測位技術の確立を目指す。
19 高速・高精度な3自由度制御型アクチュエータおよびそれを用いた微細放電加工 日本工業大学 准教授 張 暁友
研究要約
放電加工の高速・高精度化のためには、放電条件を連続的に維持するための電極の高速・高精度位置制御、異常放電の発生原因となる加工屑の排出性の改善が必要となる。このため、本研究では、電極の加工方向に高速・高精度に位置決め可能、また加工方向と垂直な平面内で高速に振動する可能な、3自由度制御型アクチュエータの開発、およびそれを用いた、放電加工の高速化、高精度化、高機能化、微細化の実現、を内容としている。
20 流体抵抗低減を目指したせん断応力計測用マイクロスケールセンサの開発 名古屋大学 助教 寺島 修
研究要約
本研究の目的は、はく離流れにより生じるせん断応力を定量的に評価可能な計測技術を開 発すること、ならびに実機械や製品を対象としたはく離流れ計測を可能とする高耐久性・高ロ バスト性を有する計測技術を開発することである。研究では、異なる二種類のマイクロスケー ルオーダのセンサを設計・製作し、校正試験法の開発を経て計測技術として確立し、壁面乱 流やはく離を生じる翼周りの流れを対象としてせん断応力計測を実施する。
21 人間工学に基づくパーソナルモビリティ・ビークルの運動制御 大阪府立大学 助教 中川 智皓
研究要約
近年、高齢社会、移動権の確保、環境保全の観点から、新しい個人の移動手段となるパーソナルモビリティが求められてきている。パーソナルモビリティは小型で軽量であることが期待されることから、人間の影響が大きく出やすいシステムである。本研究では、特に車両と人間の力学的な情報と心理的な情報を相互に伝達するシステム構築を目標とする。研究では、姿勢安定化に関わる力学とパーソナルスペースを用いた心理量を導入する。
22 超人的移動能力を持つスプリント・ロボットの開発 早稲田大学 研究院講師 橋本 健二
研究要約
人体運動を模擬した“歩行運動”と“走行運動”が可能で、高速走行が可能なスプリント・ロボットを開発することを長期的目標とする。跳躍や走行などのダイナミックな運動を実現するためには、単純に各関節のアクチュエータの出力を大きくするだけでは困難であり、人間と同じく身体のダイナミクスを積極的に活用する必要がある。そこで本研究では、骨盤運動と脚弾性を活用した2足走行ロボットの下半身機構の開発を目指す。
23 ホットプレス用超高強度 TRIP 型マルテンサイト鋼の遅れ破壊特性 津山工業高等専門学校 講師 北條 智彦
研究要約
自動車の衝突安全性の向上と車体軽量化による燃費向上のため,自動車の衝突安全部材にホットスタンピング技術を用いた超高強度 TRIP 型マルテンサイト鋼(TM 鋼)を適用することを目的に研究を行う。0.2C-1.5Si-1.5Mn(mass%)の化学組成を有する冷延鋼板に合金元素を添加し、クエンチ‐パーティショニング処理(Q-P 処理)によって TM 鋼を製造して、TM 鋼の遅れ破壊特性に及ぼす添加合金元素の影響、パーティショニング処理の影響を詳細に検討する。
24 燃料電池計測を目的とした中性子シンチレータの研究 九州工業大学 准教授 柳田 健之
研究要約
本研究の目的は、燃料電池の画像計測等でこれまで用いたれてきた 3He ガスに代替する、新規固体中性子シンチレータの開発及び、それを用いた撮像検出器の試作である。シンチレータの候補としては LiF-CaF2 (or SrF2) 共晶体、CaB2O4 (or Sr B2O4)、LiAlO2 等であり、材料開発、光物性計測、中性子応答計測、さらには最も特性の良かったシンチレータを用いての撮像検出器の試作までを申請者が行う。
25 高過給ディーゼル機関における排熱回生の基礎研究 久留米工業大学 講師 山口 卓也
研究要約
近年、ディーゼルエンジンからの排熱を回生する技術が、ディーゼルエンジンの更なる燃費改善の手法のひとつとして国内外で大きく注目されている。本研究は、ランキンサイクルを用いたコンバインドサイクルにより、次世代の高過給ディーゼルエンジンの排気エネルギを回生した場合の燃費改善の効果を詳細に検討するものである。排気エネルギの回生効率を高めるための最適な回生システムやエンジンシステムの提案を目的とする。
26 大都市商業空間における人の流れのモデル化と静的・動的な空間制御 名古屋大学 助教 山本 江
研究要約
本研究では、大都市における商業施設内の利用者の移動の様子(人の流れ)をモデル化し、そのモデルに基づいて商業施設の空間配置を制御・最適化することで、利用者が安全かつ快適に利用できる空間を実現することを目的とする。これは、従来、建築や社会工学の分野で扱われてきた空間設計の問題に対し、機械工学やロボティクスの分野で発展してきた制御・最適化の技術を応用する新たな試みである。
27 水系電解質を用いるリチウム—空気電池における金属炭酸塩析出メカニズムの解明 産業技術総合研究所 研究員 劉銀珠
研究要約
水系電解質を用いるリチウム−空気電池は、開放系電池であるため、空気中に存在する CO2と電解液の反応による Li2CO3 析出は不可欠である。本研究はグラフェンナノシートおよびグラフェン酸化物を本研究者のグループで開発したハイブリッド電解液を用いたリチウム−空気電池の空気極に適用し、カーボン表面状態および官能基が Li2CO3 析出に及ぼす影響を明確にすると共に触媒活性に影響を及ぼす決定的な因子の解明を行う。
28 マルチビュービデオの道路交通システムへの応用 静岡大学 教授 渡辺 尚
研究要約
本研究では、より安全で快適な道路交通社会の実現を目指し、車両に搭載された複数カメラの映像を組み合わせ周辺の状況を伝えるマルチビュービデオストリーミング手法を開発することを目的とする。特に、現在までに開発してきたビデオ伝送技術ならびにマルチエージェント技術を利用し、複数車両が撮影した映像を他の車両が利用して交差点予測や近隣車両動作の感知を可能とするための効率的ビデオ伝送技術を開発する。
29 交通事故回避・低減のための環境認識と回避制御システムに関する研究 神戸大学 准教授 深尾 隆則
研究要約
車における交通事被害低減・回避システムの構築を目的として、車による周辺環境認識及び障害物の移動予測システムの構築、自動車の高精度な障害物回避制御システムを構築する研究。
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過去の助成実績

所属・役職は申請時当時のまま記載しております。